さらば宇宙戦艦ヤマトで、森雪が藤堂の陰謀を知っていたという仮説を立てましたが。実はそれ以前から森雪には謎が多かったといえます。
- 第1艦橋に席があるのに、医務室でも仕事がある。しかもコンピュータまで扱う。立場が不明瞭
- 第2話で古代と島を治療した森雪が、既にヤマトで2人を待ちかまえている (※1)
- レーダーの前に座っているのに報告するのは太田 (※2)
- 優秀な才媛というわりにコンピュータで航路を計算するのはワープテストぐらい?
- 最後の最後まで古代を受け入れない
ちなみに、※1はシナリオ変更の結果、※2は声優の特性の都合という事情があるようですが、その事情をあえて配慮せずにありのままのフィルムを尊重して考えてみましょう。
森雪が最初から藤堂の手先だとする §
実は森雪が最初から藤堂の手先だとすると辻褄が合うことに気付きました。
つまり、森雪の仕事は正体を隠した監視者です。
- 森雪の仕事はヤマトの監視である
- ヤマトは監視される必要がある、第2の地球探しを始められたら、残った地球の人間は滅亡するからである
- 森雪は第1艦橋の状況を把握するために、第1艦橋に席が必要であるが、形式上の席である。従って、職務の多くは太田が実際は行わねばならない
- 第1艦橋の森雪の席は艦長の前であり、艦長を除けば最も視界が広い。名誉職的な徳川に匹敵する
- 特に古代、島、第3の席(アナライザー)がよく見える
- 森雪が見知った情報を伝達する経路は医務室であり、佐渡である。つまり、医務室にも勤務が存在しなければならない
- ヤマトが地球に帰ることの確実性を担保するために存在する以上、男を受け入れるわけにはいかない。地球目前になって、やっと古代君を受け入れることができるが、もはや第2の地球探しに行かないことが確実だからである
- 森雪が古代、島、佐渡先生と一緒に迎えのエアカーに乗らなかったのは、森雪が秘密任務を打ち合わせる必要があり、別行動だったためである
- 森雪の到着が先行しているのは、古代と島が乗り組む時点から監視が始まっていたから、待ちかまえてチェックする必要があったからである
- 森雪がその前に古代と島を治療しているのは、その時点で既にチェックが始まっていたことを意味する
- 古代、島、佐渡先生が迎えのエアカーで移動するのは「時間調整」という要素があった。アクシデントで古代、島を先行チェックする必要が生じたが、森雪が先行してヤマトに乗り込んでいる必要もあったためである
つまり、以下のようにまとめられます。
- 森雪は本来、本質的に看護婦である
- 藤堂の陰謀に対する忠実な手先である
- 看護婦では第1艦橋に席がもらえないので、優秀であるという設定をでっちあげている
- 初期には優秀さをアピールする行動も取るが、一定のポジションを確保するともう必要ないので取らない。アピール行動そのものがポジションを確保させるためのフェイクという可能性も大きい
すると佐渡も §
実は佐渡の謎も芋づるで解けることに気付きました。
- 地球の運命が掛かっているヤマトに、迷医の獣医を乗せるのは不自然である
- 地球に通信する際、猫を相手に喋っているのは不自然である。獣医でも付き合いのある人間は多いはずだ
- ヤマトに乗るにしてはいろいろと知識が不足しすぎている (ワープも知らない)
- 古代と雪が写真を撮ったとき、雪が去るまで自分の存在を隠し通している
- 迎えのエアカーに古代と島が行くと既に佐渡がいる
これらの謎は、佐渡も藤堂の手先であると解釈すると辻褄が合います。
- 佐渡がヤマトの船医に抜擢される理由は、医者としての腕前ではなく、藤堂を裏切らない忠誠心にある (厳密にはおそらく佐渡の忠誠心は酒にあるのだろうが)
- 佐渡はヤマトの通信設備とは別に、自分の通信機を持っていて、随時地球と連絡を取っていた。従って、最後に通信する相手は猫でもよい。あるいは、本当に通信すべき相手は秘匿されるべきであるために、あえて猫と話をしている
- 佐渡は手先である森雪から報告を受け取って、藤堂に連絡する役目を持っていたが、もちろん太陽系を離れるとそれもできない
- 森雪はヤマトを密かに監視していたが、佐渡はその森雪を密かに監視していた。森雪が古代と接近しすぎると任務に支障があるが、森雪が一定以上に馴れ馴れしくなることを拒絶したので、佐渡は安心して古代に声を掛けられた。パパとママの青春を語るいい思い出とは、仲良くなるのは地球に戻った後だという決意表明でもある
- 迎えのエアカーに佐渡が待っていたのは偶然ではない。ここは佐渡が監視すべき役割とされ、先に乗せられたのだろう。しかし、ヤマトの件はまだ佐渡も知らない (あるいは知っていても、とぼけた)
そもそも誰が藤堂の味方? §
ここまで考えてくると、実はヤマトの人選が計画的であることが分かります。
おそらく、沖田艦長は藤堂の本音を知った上で協力し、それを明かさないまま死んでいったと思われます。
徳川、真田は知っていても知っていなくても対応に大差なし。
若い宇宙戦士ばかりなのは、いざとなったら年長者が上手く丸め込める可能性が大だからでしょう。
こうして見ると、反乱予定キャラが真田なのに途中まで徳川と間違われていたことも良く分かります。2人の立場はよく似ています。
すると復活編まで §
すると、かつて監視者であった過去があれば古代との夫婦生活がぎくしゃくするのも当然。ヤマトを成功に導いた陰の功労者として、藤堂人脈で移民船団の司令官に抜擢されるのも当然。事情を知らない娘がママの味方になってパパ古代を糾弾してしまうのも当然。もはや、佐渡が宇宙に行かないのも、佐渡の役割は終わったということかも。つまり、もはや首謀者は藤堂ではなく真田であり、真田は直接古代を信頼しているからいちいち監視者を送り込む必要も無くなったということです。
ちょっとまて §
もし、佐渡が自前の通信機を持っていて、地球を連絡を取っていたら相原が気づかないはずがありあません。暗号化されていて解読できないかもしれませんし、そういう軍事機密的な通信は見て見ぬふりをすることが職務として要求されていたとしても、そういう通信があるということそのものには気づくでしょう。しかし、それは職務上無かったことにする必要があります。
だから、精神をやられてしまうわけです。精神をやられたのは、こっそり地球と通信したからとは言えません。それ以前に、こっそり地球と通信しようと思った時点で、既に心が病んでいます。とすれば、その遠因としても推定できるかもしれません。北上夜曲での治療が失敗するのも当然で、相原は自分の知っていることを職務上話せず、カウンセリングが成立しません。(そもそも、通信を送っていたのが佐渡だとすら知ることもできない)
いや、それは逆で、こっそり私的な通信をして良いのだという発想を相原に植え付けてしまったという可能性もあり得ます。