「どうも、ヤマトの特徴は未練にあるのではないかと思えてきた」
「というと?」
「ヤマトは大和の未練が蘇ったものだし、デスラーもイスカンダル人のように星と運命を共にできないから侵略をしてみせる。未練たらたらだ。そして、古代も辞表を書いたのに未練たらしく第1艦橋に来てしまう」
「なるほど。未練ね」
「放送短縮でいろいろ放送できず、その未練が続編を産んでいるし」
「そういうこともあるかもね」
「ということはさ、ここが重要なのだけど」
「なに?」
「ヤマトは物事の終わりを描き続けねばならないが、終わってはならないのだ」
「ええっ!?」
「未練は永遠に悔やまれ続けねばならない」
「それも厳しいな」
「そうさ。だから、ヤマト完結編で古代が辞表を出した後でヤマトに来ることが重要なんだ。この未練ぶり」
「その未練は解消できないの?」
「たとえば、デスラーは未練を解消できた。ガミラスとイスカンダルが無くなって、未練の亡霊から解放されることができた。だから、蛮族の星を占領して手に入れるよりも、超大国に喧嘩をふっかけられたわけだ」
「しかし、ヤマトは……」
「負けて未練を吹っ切れたデスラーと違って、ヤマトは負けたことが前提だから、負けても吹っ切れない。もちろん勝っても吹っ切れない。しかも、ヤマトは沈んだ大和という史実を消そうにも消せない。引き上げても壊しても地球そのものが消えても過去は消えない」
「ある意味で過去の亡霊なんだね、ヤマトって」
「それだけじゃない。ガミラスを滅ぼしてきた歴史も消せない」
「もう神様の姿が見えないぐらいね」
「だから、古代が生きている限り未練は消せない。あるいは、ヤマトの艦名を受け継ぐ戦艦がある限り、かな」
「つまり?」
「あるいはヤマトは沈められるし、古代も殺せるが、未練は消えない。そして、未練があれば復活できる」
「無限ループだね」
「復活編でも、やはり雪が行方不明という未練を残して終わってしまった」
「未練は永遠に無くならないね」
「そうさ。だから、未練を無くそうと思うよりも、人間社会から未練は永遠に無くならないと思うべきなんだろう。それが、ヤマトの隠れ主題なんだろう」
「なんと」
「何回ヤマトが滅んでも、新たな顔、新たな決意で、新たなヤマトは飛んでいくと思うべきなのだろう」
「でも、その理由は金儲けではなく未練か」