『宇宙戦艦ヤマト全記録集 TVシナリオ版』1つでこの件の研究が大幅に進みました。
まずシナリオ段階で以下のことが言えます。
- ヤマト搭載の戦闘機は少なくともすべて宇宙零戦と呼ばれる
- 宇宙零戦は複数存在する
- ブラック・タイガーは隊の名称である
- 古代と加藤とブラックタイガー隊が発進している
- 「古代、加藤の宇宙零戦帰還」という台詞がある
宇宙零戦が複数存在することは以下のようなシナリオの記述から明らかです。
加藤はじめ宇宙戦士が、つぎつぎと宇宙零戦に乗り込み、発進していく。
問題は下記の点です。
- 加藤はブラックタイガー隊の一員ではないようにも受け取れる
実際のフィルムはどうか §
第3話~第4話をチェックしてみました。
- 第3話の格納庫にある機体は、おそらくすべてコスモゼロである
- 第3話に出てくる加藤は「古代君の下で戦闘隊を指揮する」と自己紹介している。ブラックタイガーの、ではない
- 黒い制服の隊員は複数見られる
- 第4話の序盤はコスモゼロ1機+ブラックタイガー数機として作画されているが、終盤は混乱が見られる
- 第4話の山本の機体は一貫してブラックタイガーである
- 第4話は「古代、加藤の宇宙零戦帰還」という台詞がある
- 第4話のブラックタイガー隊員の制服は黒地ではなく白地に赤である
- 第4話で加藤が戦闘機に乗っている明確な映像的な描写はない
- 第4話の加藤はワープ後に1回だけ絵として出てくるが黒地の制服である
何が起きているのか? §
- 機体としてのブラックタイガーはシナリオ段階では存在しない
- 加藤の立場は、ブラックタイガーの隊長ではなく、古代より下、ブラックタイガーより上の航空隊指揮官である
- ブラックタイガー隊の制服と加藤の制服は必ずしも同じではない
- 加藤の出撃シーンはカットされている。帰還は森雪の報告でしか存在していない
- 作画上の機種は混乱している。煙を噴いている山本機は一貫してブラックタイガーだが、先行して一緒に飛んでいる他の機体はコスモゼロだったりする。これは、途中から変更した設定を徹底できなかったり、変更前に作画してしまった絵を変更出来なかった可能性があり得る
- 他に、作画してしまった絵の修正が間に合わなかった可能性も考えられる
加藤三郎の乗機は何か? §
というわけで、もしも作画上、ブラックタイガーであるべき箇所にコスモゼロを描いてあるというミスがあり得るが、逆はあり得ないと仮定すると、1カットに出てくるコスモゼロの総数の最小機数は1機となり加藤が乗っていたのはブラックタイガーとなります。
もし、この仮定が成立せず、単なる作画ミスだとすると結論は不明ということになります。