「実は1つ分かったことがある」
「なんだい?」
「以下のWikiPediaの記述ではっと気づいた」
なお『ロッキーチャック』と『侍ジャイアンツ』は、裏番組同士だった。
「それで?」
「ロッキーチャックを見ていて、それが好きだったから侍ジャイアンツの本放送は必然的に見てなかったわけだ」
「なるほど」
「実は名劇といえば、ロッキーチャック派なのだ。いちばんはカトリだが、次点はおそらくロッキーチャックなのだろう。ティコも実は好きなのだが、あれは欠陥も多い作品だから」
「あれ。ハイジは?」
「つまりだな。ロッキーチャック派であってハイジ派ではなかったからかな。矛盾無くハイジの視聴を打ち切って、モノクロテレビに齧り付いてヤマトを見られたのは。ハイジのすごさに気づくのはもうちょっと後になる」
「なるほど。そこで話がヤマトにつながるわけだ」
「ロッキーチャックぐらいハイジが好きだったら、どうなったか分からないな」
「まあ、あの当時は湯水のごとく再放送があったから補完はできたんだろうけど」
「でも、意外と難しいぞ。当時はエンディング切るのも日常茶飯事だけど、ヤマトはそこにも特別な映像が入ってくるケースもあるからな。実際、それが流れなかったり、切られた再放送もあったと記憶する」
「難しいね」
「キューティーハニーも再放送の回数は多いが、実は2番まで主題歌が流れるOPを見た再放送は1回しかないしね。夜霧のハニーがEDに付いている再放送も1回ぐらいしか見てない可能性があるな」
「それも厳しいね」
「いいの、これでいい」
「テレビがダイナミックだった時代だから、それでいいのか」
「ビデオも無いしね。同じでもまた見ちゃう。こうなると知っていた私」
「再放送だと思って馬鹿にしてはいけないということだね。そこにもドラマがある」
「ヤマトの第2話も、軍艦マーチバージョンが流れたりするしね」
「ヤマトの再放送でどうなったのか調べると面白そうだ」
「七色星団の決戦でEDに真っ赤なスカーフが流れたとき、何話のEDが代用に入ったか等だね」
「でも、さすがこちらは無理。資料不足」
余談 §
「しかし、ティコが好きって言うのは、海が好き、船が好きって言ってるようなものだな」
「山の話であるハイジより、船の話であるヤマトに走るわけだ」
「そもそも、原点の海底3万マイルも海の話だし、続く空飛ぶゆうれい船も船の話だ」
「すっかり海と船に染まっているね」
「だから明らかに原点の延長線上にあるのはヤマトなんだよ。なのに、空飛ぶゆうれい船に参加していた宮崎駿はハイジに行っちゃうから矛盾してる」
「ねじれているね」
「でも、そこで出てくる理屈で割り切れない何かがその後の作品を後押しする推進力だと思えば否定は出来ない」
「でもさ。カトリが実は一番というのもひねくれていない?」
「最初、自分でもそう思っていた」
「というと?」
「ハイジよりカトリというのは、なんてひねくれた趣味だと思っていたのだが」
「だが?」
「実は名劇のファンサークルの人から、実はカトリがあちらでも一番人気だと聞いて認識を改めた」
「なるほど。実はカトリも人気が高かったのね」
「うん。しかもだな。原作は面白くも何ともない話なのに、実は宮崎晃さんがかなり改変したらしい。独立運動と絡めたり、女性の独立運動と絡めたり」
「宮崎?」
「宮崎駿じゃないぜ。高畑勲+宮崎駿が名劇のゴールデンコンビなら斎藤博+宮崎晃ももう1つのゴールデンコンビと言える。名劇から離れてもあひるのクワックや楽しいムーミン一家とか、凄くいい作品も残るけどな」
「あひるのクワック?」
「タイトルは可愛いけどな。凄く辛辣でいい作品だぞ。何しろ、いきなり小さな子供を残して家族は交通事故。ヒトラーみたいな独裁者が王政を乗っ取ったり、自作自演で大統領選挙に勝とうとしたり」
「ふむふむ」
「しかも、主役の声優は無名時代の林原めぐみで、主題歌も歌ってる。」
「主役は女の子なの?」
「いや、男の子だ。見事なまでに凛々しい男の子声優だったぞ。ハッピー、ハッピー」
「そういや、ティコのナナミも林原さんでは?」
「うん。凄く芸達者で演技の幅が広いし、凄く上手い」
「ってことは、アイドル声優とはちょっと違うね」
「あれがプロなんだろう、と思うな。いわゆるXX声を数種類使い分けるのではなく、その役の声に完全になれる」
「なるほど」
「徳川機関長と佐渡先生を完全に演じ分けた永井一郎さんにも匹敵すると思うよ」
「話は結局最後にヤマトかい」