「春曲鈍接近というネタを書いたが」
「うん」
「本当は、Amazonネタにつなげるという構想もあった」
「奇面組商品にリンクするとか?」
「世界で一人、君だけがハルマゲドンのアクを知っている♪」
「ダダダ、誰がそんなの歌うねん。それはAmazonやのうて、アマゾンや」
「そうか?」
「だいたいアクってなんや」
「鈍ちゃんアクが強いキャラだし」
「そんなの誰が分かるネタやねん。パパやママに聞いても無理ちゃうか?」
「分からない奴は大空に聞け」
「答えてくれるのか?」
「ボールは友達さ、って答えて貰えそうだ」
「それは大空翼。そろそろ本題に入ってよ」
「うん。アオバ自転車店の13巻を買ったが(これを書いている日)、これは実はヤマトと本質的に同じだと気付いた」
「自転車の漫画とヤマトが同じ? どういう意味?」
「つまり、実体験がベースということだ」
「自転車はともかく、宇宙冒険のヤマトが実体験ベース?」
「実は船の実体験がベースにあるんだ」
「船に乗る感覚がベースになってヤマトがあるってことだね」
「そして、群像劇としての要素も共通点だ」
「アオバ自転車店も?」
「個々のエピソードの登場人物は少ないが、シリーズを通して繰り返し出てくるキャラが多く、それぞれに物語がある。構成が群像劇的だ」
「それにどういう意味があるんだろう?」
「やはり流行に対する反逆だろう」
「反逆?」
「今の流行は、ずばり言えば異世界ファンタジーだ」
「うん。FFとかドラクエとか、山ほどある亜流だね」
「それらは実体験がベースになっていない」
「ええっ?」
「じゃあ剣を振るってモンスターを倒したことは? 魔法を使ったことは? スライムを飼ったことは?」
「あるわけない。ぜんぶ想像上のものだ」
「だからさ。ここで1本の境界線が引けるわけだ」
「頭の中で作った世界と、実体験を背景に作った世界ということだね」
「前者は何でもできるように思えるが、実は想像力という制約があってあまり遠くへは行けない小さな狭い世界になる」
「後者は?」
「船をベースに宇宙船を発想すると非科学的に見えるが、実は人間の想像力という制約が取っ払われるという意味でずっと広くなる」
「なるほど」
「だから、宇宙に上下があるのはおかしいが、単に無重力を忠実に描いただけのアニメよりも重みがあるし、広いんだ。だからむしろ見応えが出てくる」
「なるほど」
「でも、実体験をベースに解釈しない観客は分からないかもしれないけどね」
「はははは。それはしょうがない」
「たとえば、有明ビッグサイトに水上バスで行くというレベルでも、船を体験すると違うと思うけどな」
「でも、せっかく買った同人誌をチェックするのに余念がない人たちは外なんて見てないかもよ」
「揺れ心地だけでも味わえばいいのに」
「第3艦橋が解け落ちそうだけどな」
オマケ §
「だからさ。西崎さんが作りたかったのは、実は海のアニメかもしれないよ」
「海のトリトンも海だし。ブルーノア(旧)も宇宙空母といいつつ海の話」
「うん。だから、ずばり本当なら『海のヤマトン』をやりたかったのだろうと思う」
「ヤマトン!?」
「主題歌も考えたぞ。ヤマト食べたらヤマトン。怪獣産んじゃうヤマトン♪」
「産むな!」
「でも、ガス生命体ならヤマト食いそうだな」
「α星に逃げ込め!」
オマケ2 §
「トトロに対抗して、ヤマトンも大中小揃えよう」
「大トトロ中トトロ小トトロに対抗して、大ヤマトン中ヤマトン小ヤマトン?」
「ヤマトン1つくれ」
「大中小とございやすが、どれにいたしましょう」
「じゃ、中で」
「ヤマトンチュー一丁!」
「なんか沖縄から見た本土の人間みたいだな」
「ヤマトン小になると、ヤマトンショーになって、着ぐるみショーみたいだぞ」
「ヤマトン大だと?」
「時速は91キロのヤマトンだい」
「やっぱり、ンがンーっと消えてヤマトにした方が良さそうだな」
「やっやっやっヤマトはそこにいる」
「よろこべ! 真田さんがエンジンをパワーアップして119キロにアップしてくれたぞ」
「それでもイスカンダルまで1年で往復できないぞ」
「大丈夫。僚艦とタッチすれば倍々ゲームで速度アップして光速突破できるから」
「ヤマトは単艦行動が基本だっ!」
「へこーっ」
「タコデポーン アシハポーン」
オマケIII §
「でだ。10/3のブレイヴも凄かったね」
「どう凄いの?」
「思い上がった経験不足能力不足の若者が恐怖するぐらい、自分の未熟さを思い知らせる話なんだよね」
「そういうの、あまり多くないけど、無いこともないよね」
「でもさ。ただ単に思い知らされるだけなんだよ」
「ただそれだけの話?」
「たとえばさ。耳をすませばって映画も、確かに無力を思い知る映画なんだけど、そのあとで恋人が来て一緒に日の出を見てプロポーズされるという嬉しいこともある」
「うん」
「でもさ。10/3のブレイヴの場合、思い知って、生意気を言ってしまった主人公に謝って任務に戻っておしまい」
「それだけ?」
「それだけ。飯炊きから這い上がってこいとも言ってもらえない」
「凄いね」
「まあ、おおむね新たなる旅立ちの前半と同じと思っていいな」
「なるほど。それは凄いね」
「まあ待て。実はもう1つある」
「というと?」
「若造に思い知らせるのは艦長の仕事なんだ。うるわしのソフィア号のクラッキー艦長のね」
「え?」
「だから、古代の仕事と同じなんだよ」
「なるほど。これでいいか古代も悩んでいたね」
「うん。でもさ。古代は主人公だからいいけど、ブレイヴの場合、クラッキーは主人公じゃないんだ」
「それってどういうこと?」
「自分の仕事をわきまえている艦長が、主人公に無駄な負担を強いないために、自分で自分の仕事を処理したってことだ」
「それで?」
「だからさ。敵を倒すというアニメ特撮は多いが、こういう大人の責務を果たすような作品がどれほどあったかといえば、かなり少ないだろう。もう今はアニメあまり見てないけど、見てない範囲で極端に増えたとも思えない」
「それってどういうこと?」
「だからさ。やはりヤマトは孤高であり、ブレイヴも孤高だってことだね」
「孤高か」
「そうそう。あと1つ気付いた」
「なにを?」
「10/3のブレイヴは、バトルはあっても敵が出てこないんだよ」
「ええっ!?」
「スポンサーへの家賃として、カードバトルのシーンはおそらく必要なのだろう。でもそれを差し引くと、まさに敵が出てこない話しか残らないんだ」
「主人公はどうしたの?」
「真剣に集中してデッキ組んでるだけ」
「主人公はバトルすらしないのか」
「戦って勝つ以外に重要なことがあるという価値観を提示したという意味で、ブレイヴはいいことをしたと思う。かつてヤマトがしたようにね」
「なるほど。己を知れってことだね」
「相手も知れということだ。長い間の部下なのに艦長の本当の怖さを初めて見たんだ」
「それ抜きでは1戦すら危ういね」
「というか本当のことを言えば、実は戦うことも勝つことも本当は重要じゃないんだ」
「ええ!?」
「そういうのは最後に結果を出すために行われる最終段階に過ぎない」
「勝負は準備段階でほとんど付いてるってこと?」
「そうだ。だからさ、いきなり素晴らしい小説を書こうとしてもできない。命を賭けても書けない。前段階の蓄積が何も無いなら、どれほど努力しても難しい」
「感性だけで評価される小説を書けるケースはあるのじゃないの?」
「それだけでは長続きしないよ。人生をそれに賭けるにはまるで足りない」