「近所のコンビニでまた缶コーヒー(金の微糖)2つ買ってスピードくじ引いてみたぞ」
「結果は?」
「ハズレ」
「残念」
「それはともかく今日も行くぞ」
「うん」
「実はヤマト完結編と我が青春のアルカディアも双子かもしれない」
「えーっ?」
「以下のような要素が重複している」
- 主人公は艦長をやめる
- でも未練たらたら
- あり得ないはずの乗り組みのための場所が魔法のように提供される
- 長い伝統のある船が壊れて飛べなくなる(ヤマトは最後に沈むが、アルカディアは冒頭でデスシャドーが壊される)
- 戦争への敗北 (ヤマトは寸止めだが)
- 海岸っぽい場所に整列する (ヤマトは沈んだ後だが、アルカディアは乗組員募集で整列する)
- 魔法使い (真田はハイパー放射ミサイル対策、トチローは照準機を出す)
- 異星で異星人を救う (ディンギルorトカーガ)
- 敵に2種類ある (実は味方と本当の敵)
「ただね、順番が倒置しているんだ」
「えっ?」
「ヤマトは最後に沈むが、デスシャドーは最初に沈むんだ」
「整列もそうだね。ヤマトは沈んだ後で整列するけど、アルカディアでは載るために並ぶ」
「うん逆転なんだ」
「じゃあさ。もしかして、2520とクイーンエメラルダスが双子とか、エターナルファンタジーと復活編が双子なんて話はあるの?」
「きっぱり無い。松本先生は関わっていないからだ」
「なーんだ」
考察 §
「原型的な物語は同一で、それがヤマト物語と松本サーガの形で現出したと思うと分かりやすいのかも知れない」
「というと?」
「順番の倒置は、ヤマト物語では最後の話になるにも関わらず、松本サーガでは初期の話に位置づけられる立場の違いがあるからだろう」
「なるほど」
「だから主人公の乗艦が沈んで終わるのがヤマト物語では妥当。でも、松本サーガでそれはできない。アルカディア号はここで沈まないはずだからだ」
「なるほど。だから沈む要素は冒頭に持ってきて、しかもデスシャドーが担うわけだね」
「あと、立場の違いが明瞭に出ている」
「というと?」
「世界観が終戦前後なのだが、ヤマトは終戦直前、アルカディアは終戦直後なんだ」
「負ける直前に地球から行くのがヤマトで、負けた後に地球を出ていくのがアルカディアってことだね」
「たぶん西崎さんが戦中派で、松本さんが戦後派なんだろう」
オマケ §
「嘗めたら痛い目に合う、というのも実は共通している」
「なんだいそれは」
「我が青春のアルカディア屈指の名シーンといえば、酒場だね。そこで、イルミダス兵がトチローをバカにして肉を地面に投げるんだ。それに飛びつくトチローを踏んでバカにする。でも、ハーロックに殴られるし、トチローはしっかり肉をせしめるし、イルミダス兵達にいいところはない」
「完結編は?」
「だからさ。ディンギルの少年だよ。子供だからとバカにして放置して出発したが最後の最後で決定的な役割を果たしてしまう」
「小さく弱く見えても、取るに足らないと思うべきではないってことだね」
オマケ無軌道SSX §
「佐藤大輔のレッドサン・ブラッククロスの6巻が出てきたが、167ページのネタが凄い。今ではもう入手が難しいからそこを引用してやろう。ちなみに海に浮かぶ戦艦であって、履帯のある地上戦艦の話ではない。そんなトンデモ変態兵器は出てこない」
いわゆる超<ヒンデンブルグ>級戦艦などはそうした問題点の影響を一番おおきくうけた要件のひとつだった。この艦は、計画がたてられ、それが総統の承認をうけ、実際に建造が開始されたことのみがしられていた。どこで建造されているのか、またその要目はどれほどの艦であるのか、まったくわかっていなかった。
工作の結果かろうじて判明したのは、この艦の計画呼称がSS-Xであることだった。SSとはドイツ語のSchachtschiffeの略称であるから戦艦であることに疑問はない。最後のXも、計画順にしたがってアルファベットをわりふるドイツの方式からいえば奇妙ではない(たとえば<ティルビッツ>の場合、G号艦の呼称があたえられていた)。SS-Xとは日本風にいえば仮称Ⅹ級戦艦(あるいは仮称Ⅹ号戦艦)というわけであった。
ところが、そこから先がさっぱり判明しない。どれほど情報収集をすすめても、予算成立後の秘匿呼称がケッテンであることがわかっただけで、要目等はまったくもれてこなかった。ちなみにケッテンとは日本語になおせば履帯(無限軌道ともいう)のことであったが、戦艦に関係のあるはずのないこのような呼称はまったく推測の役にたたない。ケッテン/SS-Xは完全に霧の向こう側にかくれた怪物のようなものだった。
「ははは。これは凄いね」
「解説はしないぞ。野暮だからな」
「そんなことを言わずに解説してくれよ」
「しょうがないな、のび太君は。生暖かい目で見ながら解説してあげるよ」
「うん。頼むよ」
「説明しよう。佐藤大輔とは押井守をして架空戦記はこの人しかいないと言わしめた逸材である。もとは、ゲームデザイナーだが、もちろんボードのSLGの話である。代表作は小説と同名のレッドサン・ブラッククロスで、ドイツと日本がインド亜大陸で激突する第3次世界大戦を描く。ワールドアドバンスド大戦略でそれっぽいマップが収録されたときは怒ったらしいぞ」
「なんか説明になっているようで説明になってないぞ」
「じゃあ、付け加えよう。サンダーランド飛行艇の架空の後継機をサンダーバードと名付けちゃうようなナイスな1964年生まれである。おいらと同い年だ」
「それも説明になってない」
「ちなみに、架空の日本の原子力開発計画はD計画っていうんだ」
「それは燃える。けど説明になってない」
「あと、日英同盟が生きている架空世界で、電波技術者のアーサー・C・クラークがイギリスから日本に来て、通信技術者の佐野昌一と会って話をしちゃうとかな。そういう無茶苦茶な話も書いてるしな」
「誰だよ、その佐野昌一って」
「しかも、最初は険悪だったのに特殊な趣味を持つ共通点に気付くと急に打ち解けてしまうとか」
「特殊な趣味? SM?」
「そんなことを言うと、天国の福島正美先生が怒り狂うぞ」
「福島正美? 誰それ?」
「四次元の世界をさぐるっていうのだったかな。UFOとか超常現象の子供向け入門書を実は持ってたぞ」
「なんでそんなものを」
「UFOと宇宙とか、清家新一の本とか、UFOブームより前から見てた子供をなめるなよ」
「君は信じてるの?」
「UFOも幽霊も超常現象も見たこと無いし、トランプをESPカードに見立てた実験もことごとく失敗したおいらに、どんな信じる余地があると?」
「それでも実験したんだ」
「騙されやすい子供なんてそんなものだ」
「ああ、分かったぞ。つまり、超常現象研究家ってことは、SFマガジンの2代目の編集長森優のペンネームだね」
「それは南山宏」
「で、ワールドアドバンスド大戦略って君もやったんだろ? どうなんだ?」
「日本でやったときは、圧倒的な海軍力で弱小ドイツ海軍をひねり潰した。ドイツでやったときは、対艦ミサイル搭載の大型陸上機で勝ちに驕る日本艦隊をコテンパに沈めた」
「ははは。で、陸上戦は?」
「ぜんぜん印象が残らないな。陸上はややドイツ優位のほぼ互角だから印象に残らん。海上は日本優勢のバランスだから印象に残る」
「そうか」
「そういえば、佐藤大輔もトンデモネタと相性がいいぞ。実は、大戦末期のドイツにUFOが降りてくる小説とかも書いてるしな」
「なるほど。ってかそれのどこが解説だよ」
「このおいらが、ストレートに解説するなど野暮なことをするか」
「ひたすら周囲をぐるぐるまわって、本丸には連れて行かないわけだね」
「その通り。最近ちょっと人気がある某コミック作品の原作だとかいう話はまったくしない。ケケケ」
オマケ4 §
「あ、でも4次元の実在は信じるぞ」
「ほんとかよ」
「4次元の世界はあるんです」
「数学上とかいうオチ?」
「現実の話」
「どこにだよ!」
「ほら。縦・横・高さ・時間。はいこれで4次元」
「意味が違ーう。いや、意味は合ってるけど意味が違う」
「違うといえば、アニメの2次元の女が好きとか言う奴もいるぞ」
「それがおかしいか?」
「アニメ=2次元と決めつけているが、時間の要素が入っていない。それどころか人形アニメだったら最初から立体的な物体が動いてるんだから4次元だって」
「ははは」