「というわけで、現在のヤマトの勢いは想像を絶している」
「そんなに?」
「しょうがない。島抜きで発進するかと思ったら島もコスモタイガーも合流して斎藤も乗ってくれるし土方も艦長になってくれたし、藤堂まで味方だと分かったような気分だ」
「えっ?」
「誰も歓迎してくれないけど、いいや。これが俺たちの旅立ちだ。と思ってガントリーロックを解除しようと思ったらこれだ」
「ははは」
「あるいは、謎の星間大連合国家に単独で喧嘩するかと思ったらゴルイもアマール艦隊も味方になって勢力が拮抗しちゃうような気分だ」
「そんなに勢いがある?」
「あるねえ。想像以上だ」
「他に根拠はあるの?」
「ある。実は試写会に応募しているがまるで当選しない」
「そうか。ガラガラなら当たっても不思議じゃないよね」
「というか、向こうから見に来てくださいと葉書が来る世界だろう。実際、今川監督のジャイアントロボOVA第1話の時は向こうから頼みもしないのに葉書が来たぞ」
「そうか。試写会に当たらないのも、層の厚みゆえかもね」
「そうかもしれない。まるでガラガラの映画館を予想して行ったら行列がえんえんとできていてすごすご帰ったような気分だ」
「昔の体験談だよね」
「うん」
「まさに、まるで昔が戻ってきたみたいだね」
「そうさ。昔のヤマトブームも想像を絶した。マイナーな少数派だったヤマトなのに、年配の女性の国語の中学教師までこの時間はヤマトの話をみんなでしましょうなんて言い出すのだからね」
「授業時間に?」
「そうだ」
「やはり閉塞的な時代に風穴を開けてくれることを期待する人たちはいるみたいだな」
「ガ○ダムじゃだめってこと?」
「ガ○ダムで満足してれば、ヤマトに期待なんてするものか」
「そうか」
「というか、ぜんぜん別の層だと感じるね。ヤマトファンとガ○ダムファン、あるいはヤマトファンといまどきのオタク層」
「なるほど」
「代表しているスターも違う。ヤマトはキムタクだが、ガ○ダムだとGaktになる」
「かなり持ち味が違う感じだね」
「違うという認識は新たにしたよ。ファン層がまるで印象が違うし、価値観も違いそうだ」
「で、最終的に何が言いたいんだい?」
「怪盗グルーはイナズマイレブンが宣伝した」
「うん」
「ではヤマトは何が宣伝した?」
「鷹の爪団」
「というわけで、一夜明けてみると『鷹の爪団員会報0166号外』というのが『鷹の爪団 吉田』さんより来ていた」
「本当に来るのか」
「来るぞ」
「ははは」
「で、映画『ハイブリッド刑事(デカ)』特報映像 というのが紹介されていた」
「ハイブリッド刑事ねえ。ロボコップみたいな感じ?」
「いや、総統が主演らしいぞ。刑事物は好きだってさ。だから喜んでやるって」
「総統も相当冗談がお好きで」
「ヤマトで盛り上がってるときにそういうニュースを流すとはタイミングが悪いと思ったがそうじゃない」
「何が違うの?」
「だから、ヤマトを宣伝してくれた鷹の爪団の映画だと思えば、これもまたヤマト関連のニュースなんだよ」
「14万8千光年ぐらい離れているけど、それでも関連性があるわけだね」
「あるある」
「じゃあ紙兎ロペぐらい離れないとダメか」
「いや、TOHOシネマズ行くとさ。実写ヤマトの予告と鷹の爪団と紙兎ロペは必ず見るなという感じで、縁がないわけでもない。チェブラーシカとかトロンの予告は上映しないことあるけど、この3つはかなり高頻度。まあ、それでもかなり遠いけどな」
「距離にしてどれぐらいかな」
「200万光年ぐらい離れてるかな」
「まるで白色彗星が飛んできそうな距離だね」
対応は? §
「それで君はどうするのだい?」
「おいらの場合、映画というのは、基本的に映画館に行く前にネットで予約を入れから行くのは基本だ。直前まで何があるか分からないからね。変更があって、入れた予約がパーになるのは避けたい。だから出る直前に入れる」
「なるほど。一理はあるね」
「でも、それだと混む映画は満席になるリスクがある」
「まさか。ヤマトも混む危険があると考えているのかい?」
「ヤマト上映開始の12月1日は、1日だから実は多くの劇場で1000円で見られる日なんだよ」
「そうか。平日だと思ってなめていると、席が埋まるリスクもあるってことだね」
「まあ普通の映画は、1日だろうと14日だろうと満席はありえない。大人気映画でもそうは埋まらない」
「でも、公開初日と重なるとヤマトの勢いではやばいと」
「あと、新宿渋谷のような良いロケーションのスクリーンという条件を加味すると更に逼迫する可能性がある」
「なるほど。府中とは違うわけだね」
「そうだ。まあ、蓋を開けてみるまで分からないけどな」
「確かに。いくら勢いがあるように見えても少数派って事例は珍しくない」
「うん。実際に行くと空席が目立って肩すかしという可能性もあるしね。でも後悔しないためには多少のゆとりを見た方がいいかもしれない」
「愛とは後悔しないことだからね」
実写版ヤマトはファンムービーかという問題 §
「実写版ヤマトはヤマトファンが作っているという手応えを感じる」
「うん」
「でも、同時にプロが作っているとも感じる」
「どういうことだろう?」
「きちんと物事が分かっているプロがさ。外しちゃいけない一歩をファン側に踏み外して作っているという状況なのかもしれない」
「それは危険な感じだね」
「しかし、プロはプロだから、重要なポイントは外していない」
「そこは安心していいわけだね」
「じゃあ、プロがプロの仕事を貫徹しているのに、更に一歩ファン側に踏み外しているとすると、どうなると思う?」
「さあ。どうなるんだろう?」
「中身か濃くなるかも知れない」
「長さが伸びるってこと?」
「確かに2時間16分は長いが、極端に長いわけでもない。むしろこの大作でこの長さは短い。アバターなら2時間42分も続くわけだしね」
「じゃあどうなるの?」
「意味が多重に織り込まれることになる」
「どういう意味?」
「あらキムタクってちょっといいじゃない? というおばさんが見てもいい。映画として結末まで問題なく見て帰れる。でも、野心的な日本映画の挑戦としてトロンやTNGを意識して見ていくこともできるし、昔のヤマトブームを体験した人が昔を思い出して見ることもできる」
「そうか」
「でも、おばさんはスクリーンから排斥されない。おばさんの態度は肯定される観客の態度の1つなんだ。だからおばさんも歓迎される」
「それが多重化の意味だね」
「そうなんだ。見る人がそれぞれ自分の立場とゴールを決めて見ることができ、異なる印象を受けて、異なる価値を受け取って帰れるわけだ。つまり間口が広くなる」
「おいちょっとまて。それはやばいぞ」
「どこが?」
「間口が広いと、ますますスクリーンの座席が埋まるリスクが高くなるぞ」
「しまった。そいつは盲点だった」
オマケ §
「余談だけど、現時点までという限定を付けて今年のベスト1の映画というと何?」
「復活編は去年の公開だから除外されるとしてだな。洋画ではNINEかな。ひたすら映画監督が女性関係で失敗し続ける話。邦画なら告白かな」
「なるほど。なんかどっちもアニメじゃないね」
「でも、主人公像に1つの傾向が見られる」
「というと?」
「失敗の負い目だ。NINEの主人公にもあるし、告白の主人公を女教師だとするとやはり娘にあれを買ってやれば良かったという負い目がある。そして、当然、実写版の古代君にも負い目がある。アニメの古代君にはない負い目がね」
「それがトレンドなのかな」
「かもね。とすれば古代君の設定変更はトレンドに乗った正解ってことになる」
「ってことは、もしかして、別の時代には別のトレンドに乗ったヤマトが必要なんだろうか」
「かもね。シオシオの中年古代が必要な時代もあれば、子供みたいな古代が必要な時代があるかも知れないよ」
「もしかして、古代人みたいな古代が必要とされる時代もあったりして」
「どっちを向いても宇宙、どっちを向いても古代♪」
「かなりの古代の妄想だな」
「ひとそれを誇大妄想という」
オマケ2 §
「『[残り18名]2年8ヶ月ぶり』というタイトルのspamが来ていたが」
「それがどうしたの?
「その残り18名とは島相原以下総員18名か! と思った」
「ははは」
オマケIII §
アンケートがあるらしい。(数字は自分が見たときの値)
2%の差はほとんど誤差の範囲で、この数字はほぼ拮抗していると思っていいと思います。しかし、この「拮抗」という結果は、単純にヤマトの勝ちだと思います。ヤマト禁止法が平然とネタになり、バッシングに晒され、しかも最初から嗜好品に過ぎないヤマトで半数が見たいと思ったらそれはもう勝利そのもの。奇跡の大逆転。月面基地から飛んできたコスモタイガーが敵かと思ったらバンクを振って味方だと分かった時みたい。
「インターネットでもどえらい騒ぎだぜ。ヤマトファンが謀反を起こしたってな」
「そいつはいいや」
「ははは」
「で、君が考える勝利ラインって何パーセント?」
「そうだな。20%ぐらいでも大勝利だと思う。30%越えたら想定外の超勝利だろう」