「ヤマトがスタートさせたアニメの時代は終わったと思う」
「終わったのか」
「終了した。復活編やSPACE BATTLESHIP ヤマトは終了宣言そのものだ」
なぜ終了したと言えるのか §
「なぜ終了したと言うわけ?」
「どのアニメの新番組を見ても退屈で退屈で5分も持たなかったから」
「ダメなの?」
「緊張感がない」
「どうして緊張感が無いわけ?」
「やっと分かってきたのだが、要するに背負ったものが無いからだ」
「背負ったもの? なにそれ?」
「だからさ。送り手と受け手がなあなあだってことだよ」
「人気不人気はあるのじゃないの?」
「もっと上位の枠組みで、なあなあだってことだよ」
「そうか」
誰が後を継ぐのか §
「そういう面で見ると、むしろジャリ向けのアニメの方に緊張感がある」
「たとえば?」
「バトルスピリッツ ブレイヴ」
「なぜ緊張感があるの?」
「背負ったものがあるからだろう」
「面白いアニメを作ってカードゲームの売り上げに貢献しないと仕事が無くなるってことだね」
「であるから、後発のライバルもそれを打倒するだけの本気の勝負を仕掛けるしかない」
「後発のライバル?」
「カードファイト!! ヴァンガードだ」
「なにそれ?」
「カードファイトのアニメだ」
「それは何となく分かるけど」
「腐るほど緊張感のないアニメの新番組を見て諦めかけて最後に再生したのがこれの第1話だ」
「それでどうだったの?」
「ブレイヴに宣戦布告だな、この内容は」
「似てるの?」
「いいや。まるで似ていない。というか、あまりに無茶苦茶なブレイヴの設定に対して、もっといい設定を持ち込んでいる」
「どういうこと?」
「ブレイヴは未来世界に人類を救いに行くが、ヴァンガードは空想上の異星で戦うのだ。実体はあくまでカードショップで対戦している学生の少年に過ぎないが、『イメージせよ』という言葉が示すとおり、異星で戦っている自分をイメージするのだ」
「確かに無理のない設定だ」
「しかし、緊張感が無い訳ではない」
「そうなの?」
「気弱な少年がカードを奪われるが、取り戻そうとしたときにはもう別人の手に渡っているのだ。そいつは、勝って自分のものにした以上は返す気がないという。そして、カードを取り戻すためにショップ最強の男に最弱の未経験少年が挑むことになる」
「そうか」
「だが、実は2人とも相手が昔の知り合いだと知っていて、そんなことは2人ともおくびにも出さないでバトルを開始するわけだ」
「それは変な緊張感があるね」
「そうさ。ある人間が全力で本気を掛けるなら、人類の命運だろうと、1カードショップ内のバトルであろうと、そんなことに本質の差はない」
「そうか」
「それ理解すれば、ヤマトの14万8千光年にも意味があって意味がないことが分かる」
「そうか」
「以上、ニューヴェストロイアを見ながら書いた」
「ははは」
「しかし、アニメにおけるポストヤマト文化の成り行きはおおむね見えた。以下のようにまとめて良いだろう」
- ジャリ向けが背負う
- 定番のアイテムはロボットではなくカード (亜種派生形として爆丸等もあり)
- 従って、素顔のバトルが基本である
「ロボットではないということは、鉄人マジンガー系文化も終わったということかね」
「まだ戦隊ロボットが担っている」
「そうか、アニメじゃないけど、特撮が担ってる訳か」
「ちなみに、見たアニメの中に素顔で戦っているのが1本あったがダメだった」
「なぜ? 素顔で勝負するのがいいんだろう?」
「作品全体を受け止められる顔ではなかった。何となく、記号的によくあるパターンで緊張感の欠片もなかった」
「そうか」
「だから、作品を背負って顔となれる緊張感にほど遠ければ、それは素顔でもダメだよ」
「そうか」
「そういう意味で、アニメであってもブレイヴの馬神弾や、ヴァンガードの主人公のように、作品そのものを一切合切背負える顔を持っているケースもある」
「アニメの古代進もそうだってことか?」
「そうだ。でも、島は背負える顔ではなかった。だから古代が主人公なのだ」
「実写でも同じなのかな」
「おいらはそう思う。木村拓哉さんは立派に顔になった」
オマケ §
「カードはいいぞ」
「なぜ?」
「はっきりと勝敗が付いて、負けても死ぬわけではないから、主人公が負ける話がいくらでも作れる」
「ははは」
「それに、ヤマト第1シリーズの頃もヤマトカードってあったからな。数少ないヤマトグッズの1つがカードだった」
「そうか」
「まあ、真田佐助が後に反乱を起こすとか説明に書いてあるカードだけどな」
「名前は佐助じゃないし、反乱も起こさないのに」
「初期設定に忠実だったのだろう」
「しかし、ポストヤマト文化のはずがまたカードに戻ってくるとは興味深いね」
「そうだ。世界は一巡したのだろう」
「そうか、SPACE CRUISERだから巡でいいわけだね」
「なんか違う」