2011年01月21日
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再熱する・ヤマト劇場版第1作とはいったい何か・海外編

Written By: トーノZERO連絡先

「重要なことに気付いた」

「なんだい?」

「劇場版第1作は海外セールスを意識して作られている」

「たぶんそうだね。劇場パンフも英語が多いしね」

「さて、そこで考えてみよう」

「何を?」

「ここに、人間ドラマ中心の映画と、戦闘で勝つ爽快感中心に映画の2種類があったとしよう。どちらが海外セールス向きだろうか」

「ええっ? 難しい質問だな」

「もっとストレートに言えば、アメリカ人はどっちを好むだろうか?」

「フランス人なら前者という可能性もあるかも。めぞん一刻が流行ったこともあると言うし。ロボットアニメが流行ってもグレンダイザーだし」

「アメリカ人なら?」

「後者かもしれないな」

「うん。その観点で話を進めよう」

「すると、どうなるんだ?」

「アメリカ人を意識した海外セールスを行うとすれば、必然的に人間ドラマよりも戦闘を重視する再編集映画を作ることになる」

「あれ。もしかして結論って」

「人間ドラマが過剰なまでにカットされた劇場版第1作というのは、実はそういう海外セールスを前提に入れると見えてくるのではないだろうか」

「うーむ」

「つまり、ファンムービーじゃなかったということだ」

「そうか」

「だって、ファンムービーなら絶対ビーメラ星はカットしないぜ」

「そ、それはまあそうかもしれないけど」

「もう1つ理由がある」

「何?」

「日本酒を飲んでいる沖田と古代のシーンを、大きく取り上げるわけにはいかない。アニメキャラを外人扱いして吹き替える映画であればね」

「なるほど。アメリカ人なら普通日本酒は飲まないか」

「そういう人間くさいシーンはカットせざるをえないわけで、どうしても人種臭い描写を避けると宇宙戦闘中心の映画にならざるを得ない」

「逆に、ドイツ人のロンメルみたいな名前のドメルは出してもいいわけだね」

「そうだ。そこはむしろ好ましいアピール点だろう。アメリカとは、ナチスを打倒した正義の国であり、そこに誇りがあるのだからね。どこまで本当かは別としてアメリカ人はそう思ってるよ」

「すげえ悩ましい話だな」

亀裂の遠因 §

「しかも、そこから逆算すると西崎対松本対立の遠因まで見てくる」

「え? どこ?」

「松本零士の価値観は、東洋の黄色い猿と日本人をさげすむ欧米人にこびへつらう行為を好ましく思っていない。たとえば、ワダチなどにそういう思想が典型的に見られる」

「そうか」

「でも、それは別に松本零士だけではなく、宮崎駿などにも見られることだ。アメリカ人に合わせて映画を改変することを許さず、そのままの形で吹き替えることを要求している。当初は無理だったが、実力が付いた後はそれを貫徹する」

「なるほど」

「そのような状況からすると、ああいう映画を作ることは軽薄で許し難い行為にも見えるだろう」

「そうか。絶対に許せないわけだね」

「そうだ。海岸で白人に媚びへつらった日本人女達(海岸日本野宿婦人連盟)は、大地球に日本人全員を載せて移住する宇宙船にも乗れず、地球に取り残されるのだ」

「つまり、こういう映画を作ったことはまさに白人に走った軽薄な日本人女達と同じだってことだね」

「金が無いから売れるところに売って金にするという発想からすれば、必ずしも間違いではないが、それでも人には許せない一線というものがある。おいらにもあるしね。でもその一線がどこにあるかは人それぞれだ。西崎さんと松本先生のラインは食い違っていたのだろう」

「そうか」

「ああ、でも分かったぞ。我が青春のアルカディアの酒場で進駐軍に媚びを売ってる女が西崎さんで、肉に飛びついて踏まれても強引に手に入れて食ってしまうトチローが松本先生なのだ」

「西崎さんがそれほど媚びているとは思えないけどな」

「そうだ。いざ喧嘩が起これば、酒場の女も進駐軍の男と戦っちゃうわけだよ」

「結局、いざとなれば戦うのか」

「そうさ。状況を乗りこなす方法論が違うだけで、いざ鎌倉となればやることは同じだ。たぶんな」

オマケ §

「いやー。視野を広げるといろいろ見えてくるものだなあ」

「そんなに?」

「そうだ。だってリアルタイムの当時、海外なんて想定の範囲外だったからね」

「海外特撮もかなり見てたんだろ?」

「それとこれとは話が別だ」

「どう違うの?」

「海外特撮は海外特撮でも、ヨーロッパ系作品とアメリカ系作品とでは違う。そして、おいらの趣味の中心にはゲリー・アンダーソン特撮というヨーロッパ系作品があったんだ。しかも、人間ドラマの比重が大きい」

「そうなの?」

「たとえば、謎の円盤UFOだとさ。浮上できなくなったスカイダイバーから脱出するというただそれだけの話がある。ひたすらあらゆる手段で人命を救助して密閉環境で耐えるという極めて人間的な話なんだ。けして超兵器で敵を倒して良かったねという話ではない」

「うーむ」

「ならば次の問題として、人間ドラマ中心のSPACE BATTLESHIP ヤマトは本当に海外セールスを目指しているのか、という問題にもつながる。一応、そういう原稿もあることはある。出来がイマイチなので、半分棚上げ状態だけどね」

「そこまで話が飛ぶのか」

「翼を手に入れたヤマトは飛ぶものだからな」

「なんか違う」

「というわけで、予定が変化しなければ明日はスペース1999を話題にしてSPACE BATTLESHIP ヤマトを語るぞ」

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