2011年02月28日
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極めて珍しい『不期遭遇戦』ドラマという問題

Written By: トーノZERO連絡先

「2011/2/27のゴーカイジャーは、なんとビッグワンが出たぞ」

「ビッグワンガム!」

「ちがーう」

「列車ナンバー001」

「それも違う」

「まさかジャッカーとか言うなよ」

「そのまさかだ」

「うそー」

「いや、今になってビッグワンの勇姿が見られるとはな。数ヶ月前まで予想も出来なかったことだ」

「それは凄い話だね。でも、メインはマジレンジャーネタであったようだけど」

「マジレンジャー見てないから知らない。以上……以上」

「ははは」

「でも本題はそれとは別だ」

「は?」

「実は、2011/2/27のゴーカイジャーは、不期遭遇戦という状況を描く非常に珍しいドラマになっているのだ」

「不期遭遇戦?」

「敵味方がどちらも予測していない状況で遭遇が起こり戦闘が発生する状況だ」

「どちらも事前に戦闘を意図してないってことだね」

「その通りだ。そして、不期遭遇戦には以下の特徴がある」

  • 善悪の判断が難しい・敵味方の判断ができるだけである
  • 敵の過大評価に陥りがちである
  • 戦う根拠が明瞭ではない

「なるほど」

「ゴーカイジャーも、そのような流れに忠実であった」

  • 敵は計画を邪魔しに海賊が来たと誤認した。ゴーカイジャー側があるべき秩序の破壊者扱いである
  • ゴーカイジャーを秘密を察知したと過大評価した
  • 敵の指揮官の『思い込み』で計画が変更され戦闘が行われた

「そうか」

「他にこういう不期遭遇戦ドラマの事例を探してもあまり例は多くない。おそらくガ○ダムにはほとんどない」

「そうだね」

「強いて探すと天空の城ラピュタにある」

「どこで?」

「タイガーモス号とゴリアテが意図せずして接近してしまい、ゴリアテが撃ってくる」

「でも、上の書いたパターン通りには進まないね」

「そうだ。このケースでは同じ不期遭遇戦といっても敵を知っているから冷静に対処できる。過大評価も過小評価もない」

「しかも、同じ目標に向かって飛んでいるとあらかじめ知っていたしね」

「そういう意味では、不期遭遇戦とは言いがたい」

「他に事例は?」

「実はヤマトを探すと事例が2つもある」

「えっ?」

「1つは新たなる旅立ち。ガミラス人の生き残りが戻ってくる可能性など考えていない黒色星団と、母星が他の異星人に掘られていると思ってもいないデスラーが衝突してしまった」

「なるほど」

「もう1つは、完結編だ。ランダムワープしたヤマトは、ルガール・ド・ザールの水雷戦部隊の前に出てしまう」

「そうか」

「この2つの事例では最初に上げた3つの特徴がどちらも満たされる。まず、新たなる旅立ちの場合」

  • 善悪の判断が難しく、ヤマトはかつて「悪」であったデスラーと共闘してしまう
  • デスラーの残存艦隊もヤマトも戦力としてはけして大きくないが、黒色星団は動揺して大戦力を送り込んでくる
  • 黒色星団が本当に悪であるか今ひとつ明瞭ではない

「次は完結編の場合」

  • 同胞を助けに入ったヤマトはディンギルから敵ではないと見なされる可能性もあったが、ルガール・ド・ザールの個人的判断で敵を決めつけた
  • 過大な戦力を投入してヤマトを戦闘不能に追い込んだ。戦闘準備も整えていない戦艦1隻に送り込むには過大すぎる
  • 銀河衝突という大天変地異が起きていてガルマン・ガミラスも崩壊している中で、死んだ人も多いのにそこで更に戦う根拠が明瞭ではない

「なるほど」

なぜ難しいのか §

「なぜ不期遭遇戦のドラマは少ないのだろう」

「おそらく、難しいからだろう」

「どうして?」

「敵を倒す根拠が明瞭ではなく、味方を応援しにくいからだろう」

「た、確かに」

「たとえば、新たなる旅立ちにしても、それまでずっと敵だったデスラーと古代が語らって分かれるという結末は極めて分かりにくい」

「そうだね。悪い奴は倒すのが基本だね」

「でも、本当は逆なんだ」

「えっ?」

「悪い奴は倒す、というのは安易な子供騙しのドラマだ」

「そうか」

「そうそう。いい例があった。同じ日のオーズだが、仮面ライダーバースの古い知り合いの女性が、彼との再会を意識して美しくなりたいと欲望を抱いて怪物を生み出す」

「ライダーの存在が怪物を生み出すとは皮肉な展開だね」

「だから、悪い奴を倒すだけでは問題が解決しない世界観なんだよ」

「なるほど」

「それが本来あるべき大人のドラマであり、本当の意味で見応えがあるドラマなんだ」

「悪を成敗しに行ったつもりで、実は自分の方が悪だったと知るトリトンみたいなドラマだね」

「もう1つ例を出すと、昔のスレイヤーズTRYで、脳みそがクラゲのガウリイが『どっちが悪者なんだよ』と叫ぶが頭が良いはずのリナがグッとなって答えられないのも良かった」

「それで?」

「だからそういう善悪が相対化された世界でのみ、不期遭遇戦はドラマとしてあり得るのだろう」

「つまり、ヤマトは善悪が相対化されているってことだね」

「そうだ。ヤマトは愛だからな。愛の前では善悪も相対化される」

「スターシャの前では悪の帝王デスラーも、片思いに胸を焦がす一人の男になるってことだね」

不期遭遇戦未満の事例 §

「ヤマトの場合、海峡での病院船との遭遇が不期遭遇戦未満の事例といえる」

「戦わなかったわけだね」

「ヤマトはタイムロスが大きく、これ以上戦いで時間を潰したくはなかったし、病院船はもともと攻撃すべき対象とも言えないからね」

「確かに」

オマケ §

「しかし、ここで病院船が出てくることには意味がある」

「というと?」

「ガミラスは太陽系方面で戦った将兵を見殺しにはしていない証明なのだ」

「あれ、でもデスラー総統はシュルツに戦って死ねと言ったよ」

「そこが誤認のポイントかも知れない」

「どういうこと?」

「デスラーは高価な給与に見合った立派な仕事をして見せろ、という趣旨で指揮官に対して厳しいことを言っただけかも知れない」

「安価な給与で勇気を見せる前線兵士は別かも知れないってことだね」

「だから、全艦でヤマトに体当たりを仕掛けたシュルツは、死ななくてもいいガミラス将兵を道連れにしてやっちゃった可能性がある」

「本来なら、シュルツが腹を切るだけで良かったかも知れない、ということだね」

不期遭遇戦の事例もう1つ §

「馬鹿者。オレのバカ」

「なんだ?」

「ヤマトにもう1つあった」

「何?」

「異次元空洞でのドメルとの遭遇戦」

「マゼラニックストリームから異次元に落ちただけのヤマトと演習していたドメルが意図せずしてかち合ってしまったわけだね」

「ここでやはりドメルはヤマトを過大評価している。演習しているのはヤマトの方かも知れないと言ってね」

「そうか」

「しかも、あくまでガミラスの演習場に入り込んだヤマトという構図で、善悪も明瞭では無い」

「ヤマトにそんな意図は無いけど、ガミラスから見れば自分の演習場にわざわざ入ってきたヤマトに見えるわけだね」

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