「スタビンズ君。わしはこれからアフリカに行くぞ」
「は?」
「14万8千キロメートル離れたアフリカから放射能除去装置を提供してくれると言う申し出があったのだ」
「先生。これ、アフリカではなくアフレコです。しかも、放射能除去装置ではなくノイズ能除去装置です」
「動物語ではそれを放射能除去装置というのだ」
「……(人が動物語まだ不得手だと思っていい加減なことを)」
「スタビンズ君。わしは分かったぞ」
「何がですか?」
「この屋敷にはわしと君。そして動物たちしかいない。つまり女っ気がない」
「はあ。妹さんも逃げちゃいましたしね」
「というわけで、いないなら作ればいい」
「は?」
「女装だ!」
「ええっ!?」
「もうアフリカゆきの時代じゃない。輸送船ゆきの時代だ。女も跳んじゃう時代だ」
「いや、別に女性の森雪が飛んだ訳じゃないですけど」
「というわけで、さっそく2人で女装の練習だ」
「……」
「よし、できたぞ。2人とも完璧な女装だ」
「でも先生。女2人では今度は男がいません」
「しまった!」
「スタビンズ君。やはりヒロインは紅一点だから価値があるのだ」
「そういうものですか?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトを見たまえ。これだけ女性が多いと誰が誰やら分からないぞ」
「男も多くて分からないですけどね」
「しかも、昔の太田の席に座ってる緑の制服の女性は太田ではないらしいぞ」
「太田太田って、そんなにオタオタしないでください」
「先生大変です。我々の前方に、先端に穴が空いてるっぽい宇宙戦艦が立ちはだかります」
「こうなったらあれを使うしかない」
「なんですか?」
「デスラー機雷に倣って、わしの名前を冠した最終兵器だ」
「まさか。ドリトル機雷ですか?」
「ははは。そんなわけあるか」
「そうですよね。あんな手でどけられる機雷なんて倣うわけないですよね」
「その他も素敵。ドリ(ト)ルミサイルだ」
「ええっ!?」
「先端に穴が空いてるっぽい宇宙戦艦の穴を塞ぐにはこれが一番だ」
「先生大変です。ドリ(ト)ルミサイルが赤っぽい色の変なやつに逆回転させられました」
「大丈夫。交渉すれば上手く行く。相手が誰であろうとな」
「人間じゃないですよ」
「私は動物語の大家だぞ」
『ボクハ、ニンゲンダ。ヤリタイコトヲオサエテイテハ、コワレテシマウ』
「おお。言っていることが分かるぞ。僕は人間だ。やりたいことをおさえていては、壊れてしまう、と言っているぞ」
「それは聞いたままです」
「ところで今日の5匹目の患者はまだか?」
「先生。ここで待ってます」
「あの人はだれだい?」
「ドリトルセンセイ。ドウブツセンモンノ、イシャダガ、ウデノホウハ、イマワカル」
「あかんかったよ」
『キョウハ、コレデ、イツツメノ、ホトケサマ』
「わしが獣医のドリトルじゃ。ついでに病院1の大美女じゃ」
「ええっ、どこに美女が」
「ここに女はおらん。女装しているわししかおらん」
「他にいないから病院1の大美女ってことか」
「先生、いい加減に航海記を付けてください」
「分かった分かった」
「よろしくお願いします」
「よし。書くぞ。1月7日、先端に穴が空いてるっぽい宇宙戦艦に遭遇。侮りがたし。(アンダーライン)」
「アナが空いてるだけに、アナどりがたいのですね?」
「アナおそろしや」
「アナらいざーもびっくりのオチだ」
解説 §
「なんだこれは」
「後悔があるとすれば1月7日に公開しなかったことだ」
「今日の日付でいいじゃん」
「ドメルが異次元空洞でヤマトに出会ったのは1月7日だから、ネタとしてずらすことはできんのだ」
「なんでそんなことまで憶えてるのだ」
「生まれて初めて全編を録音したのがそのエピソードで聞いた回数も多いからだ」
「録音かよ。聞いた回数かよ」
「録画でも見た回数でも無いぞ」
「わはは。本放送当時か」
「しかし、これは大当たりのエピソードであった」
「なぜ?」
「スターシャ、ドメル、ゲールがみんな出てくる。ドメルの大艦隊が戦闘を行う唯一のエピソードでもある。髭の隊長も森雪のまずいコーヒーも出てくる」