「はたと気付いた」
「何を?」
「古代守艦の犠牲で沖田は生還できる。アニメも実写も同じ」
「うん」
「でも、状況がかなり違う」
「どう違う?」
「アニメの古代守艦はまだしも敵を倒せた。でも、SPACE BATTLESHIP ヤマトでは、単に盾になって沈んだ」
「うん」
「でもさ。この『単に盾になる』ってのは、むしろ完結編なんだよ」
「えっ?」
「ハイパー放射ミサイルに対して、駆逐艦がヤマトの盾になるんだ」
「そうか分かったぞ。この古代守艦の挙動はアニメとは違うように見えて、別のヤマトネタを拾っていると見なすこともできるんだ」
「第1シリーズからさらばまでがメインと思い込んでいると見落とすけどね」
オマケ §
「以上の文章もけっこう古いな。SPACE BATTLESHIP ヤマト公開後ではあるが」
「数ヶ月寝かせた文章ってことだね」
「寝る子は育つというが、これは育たなかったな」
「趣旨が明快でくどくど説明は要らないからね」
オマケづき §
「実は冬月が哀れ」
「え? なんで? 冬月は盾になってないだろ? 生還しただろ?」
「完結編の冬月は生還した。しかし、SPACE BATTLESHIP ヤマトのふゆづきは沖田の息子と共に沈んだ」
「あれ?」
「ってことは、本来ヤマト世界では沈む船では無かった冬月が、SPACE BATTLESHIP ヤマトに行くと冥王星海戦になぞらえて火星戦が描かれるために、沈む船になってしまったのだよ」
「ありゃりゃ」
「冥王星海戦は沖田艦のみ生存だが、完結編ではヤマトと冬月が生還しているからな。どうしても数が合わなくて冬月が貧乏くじ」
「そりゃツキがない」
オマケづき §
「どうしたっ!」
「ガミラス艦の強度、前回より上がっています」
「前回ってついこのあいだのことだぞ」
「冬月、撃沈されました!」
「ばかなっ。ヤマト世界では雪風ではなく冬月が生還できるラッキー艦のはずだ!」
「沖田艦長。あの憎い古代守をアンラッキー艦の雪風に乗せて、息子さんを安全な冬月に載せたことが徒になりましたね」
「仕方が無い。雪風を盾にして逃げるぞ」
「そんなことをしたら、後で古代弟に殴られます」
「分かってるよ、佐渡先生」
オマケラッキー艦 §
「というわけで思った」
「何?」
「必ず生還できるラッキー艦はどれだ」
「ヤマトじゃないよね。雪風でもない」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトの場合、森雪機なんだよ」
「えっ?」
「実は戦闘による致命的な被弾は1回もない。単に破片で動けなくなったことが1回あるだけだ。しかも、その際も古代が助けに来てくれて、機体は失われても人命は失われていない」
「そうか」
「その上、最後のテレザート降下作戦で生き残った唯一の機体でもある」
「BT1こそラッキー機体ということだね」
「実際の機体は森雪だけ回収して1回失われているから、物理的には同じ機体ではないが、おそらくBT1と呼ばれる森雪機はラッキー機だ」
「操縦が上手かったということじゃないの?」
「上手ければ生き残るとは限らない。山本のように素早く敵の盾になれるのも上手いからといえる。でもカーゴの代わりに被弾して墜落した」
「そうか」
「それに空洞内空戦では加藤機も生き残っている」
「加藤はあくまで戦闘機を降りた後の銃撃戦で死んでいるわけだね」
「ということで、沖田は息子を森雪機に乗せておけば良かったのだよ」
「は?」
「でも単座だから無理か」
「アナライザーはCZ1に載れたぞ」
「そうか。じゃあ息子をアナライザーに改造すればOK」
「ロボに改造だロボ」
「するとテレザートでピンチの時、自律モードで使われて壊されると」
「結局、生還できないのか。意味ねえ!」
オマケX1 §
「CZ1というと」
「CZ1というと?」
「昔シャープにあったパソコンテレビX1シリーズの型番はCZで始まる番号だったことが連想される。しかも製品名X1でワンとつくぞ。最初に出たのは1982年頃の話だ」
「パソコンテレビ?」
「パソコンとテレビの合体商品だ」
「珍しくないじゃん。ネットを検索するとそんな製品山ほどあるよ。しかも、USBチューナー外付けすればパソコンに後付けでテレビ機能も簡単に付けられるじゃん」
「今はそうだが、当時は画期的だったのだ」
「でも、1982年当時、既にパソコンで録画できたとすると凄いぞ。だってまだVHSとかベータの時代だろ?」
「ははは、まさか。録画なんて無理無理。そんな容量無いし」
「えっ?」
「単にテレビとパソコンの画面を重ね合わせして表示できるだけ」
「意味ねえ!」
「でも売れた」
「どうして?」
「パソコンとして使いこなせなくてもテレビとして使えるから」
「ひで~」
「旧ヤマトのリアルタイムの時代のハイテクなんて、そんなものさ」