「デスラーが下品な男は不要だと落とす理由が最近実感として分かる」
「どうして?」
「下品な男が実際にいるからだ」
「どう下品なの?」
「緊張感の無い奴だな」
「緊張感? 品格じゃないの?」
「デスラーは戦争が好きなんだけど、戦争の緊張感が好きなんだ。だから、飲み物でリラックスなんかしたくない。それは戦争の緊張感と相容れないわけだ」
「それで?」
「でもさ。落とされた奴はガハハと笑って緊張感が無かった」
「そうか」
「一方で、デスラーはヒス相手にけっこう緊張感のある会話をしていた」
「それだけ複雑だってことだね」
「その複雑さに思い至ること無く、安直に結果に飛びついてそれっきり緊張感を持たないような奴らは、本当に穴に落としてやりたいね」
「出たっ! ミニデスラー!」
「実際は無理だけどな」
「確かに」
オマケ §
「それとも、今更ロボの原子力が怖いっていうんですか !」
「は?」
「じゃなくて。だからさ、原発反対運動とか見てると思うけどさ。福島第1原発でショックを受けたって、3.11より前にどんだけあんたらお気楽に生きてたのよ」
「ショックを受けてもしょうがないじゃん。惨劇なんだから」
「ああ、そうだ。それには一理ある。ショックを受けることはやむを得ない面がある。でもさ。問題はそこにはない」
「どういうこと?」
「ショックを受けたってことは何も分かってなかったんだ。それまで緊張感が無かったといってもいいけどね」
「それで?」
「何も分かってなかった人が、いきなり『日本はこうするべきだ』なんていう提言を行って説得力があると思うかい?」
「確かに。無知が何を言っても『本当かいな』と思ってしまう」
「だからさ。今回本当に彼らに必要だったのは、偉そうなことを言う前に、きちんと正座して反省文を書くことだったんだよ。緊張感が無くてごめんなさい。反省しますって」
「つまり、本人は悪の東電を糾弾しているつもりだけど、実際に糾弾されているのは自分だってこと?」
「だから、これはデスラーの構造と同じなんだ。落とされた奴は、ヤマトを笑っているつもりなんだ。デスラーの意図を理解しないで冗談と解釈して笑っているんだ。でも、ここでデスラーが意図したのは、無事に切り抜けようとするヤマトとの緊張感のある攻防なんだ。最後はガミラスが勝つと分かっていてもね。高みからガハハと笑ってだらけている奴とは違う。だから、本当に笑われる対象になっていたのは笑った本人だったのだ。そのことに最後まで気づくことはなく、穴に落とされたのだ」
オマケ2 §
「デスラーは緊張感のある男だった」
「たとえば?」
「デスラーの前に出ることは常に試されることを意味した。ヒスなんて試されっぱなし。無条件で許容されたのは、成果を出して帰還したドメルぐらいだ」
「そうだね」
「でもさ。ドメルがバランに人工太陽を落とすことには同意しなかった」
「そこが緊張感ってことだね」
「そうだ。可愛いドメルだから甘い顔はしない」
「でもさ。DVDでもう1回このシーンを見たけど、ヒスには厳しい態度を取っているけど、タランには温厚にお礼を言っているのだ。面白い趣向をありがとうというムードで」
「それがデスラーってことだね」
「さらばで最後まで付き従うのがタランだと分かるよ。デスラーの意図が本当に分かっていたのは実はタランだったのかもしれない」
「ヒスは理解がタランわけだね」
「しかし、このシーンを見てデスラーが既にヤマトを評価していることが分かる。実はデスラーとしては冥王星前線基地をけして低くは評価していないのだ。それを破ったヤマトはもっと凄いと言うだけ」
オマケIII §
「というわけで、補遺もこれで終わりだぞ。さらばだ」
「今はさらばと言わせないでくれ」
「無理だ。もう原稿が1つも残ってない」
「えー」
「そもそも補遺が14って、引っ張りすぎなんだよ」