「今時のゲーム開発は、エンジンを使うのが当たり前である、という話がある」
「エンジンって何?」
「たとえば、Unity3Dみたいなソフトだな。ゲーム作成のハードルを下げてくれる」
「既成のコードが提供されて、それを使ってゲームが作れるわけだね」
「まあ、他にもいろいろサービスがあるが、要するにゼロから作らなくていいから効率が良いわけだ」
「なるほど」
「エンジンに関しては、相反する2つの意見を耳にする」
「どんな意見?」
- 日本のゲーム開発者はエンジンも使わずにゼロから構築したがるが、だから効率が落ちてダメなんだ
- アメリカのゲームはエンジンを使っているから似通ってしまう。だから面白くない
「なんだよ、どっちが正しいんだよ」
「さあな。おいらに聞くな」
「それで君としてはどう思うんだ?」
「そうは言っても、エンジンを使うことは現在のゲーム開発の潮流だ。こちらも、それを意識して取り組まないといかんな、と思った」
「これからは、エンターテイメント系ソフトを作るときはエンジン使います宣言?」
「はははは。気が早いぞ」
「えっ?」
「実はそこまで考えてはたと気づいたのだ。ある程度汎用性のあるフレームがあり、それに追加コードを書くことでゲームになるという意味では、ANGFが既にそれんだ」
「えっ?」
「絵も音も無い文字による表現に特化した一種のエンジンなんだよ、ANGFというのは」
「まさか」
「ANGFが存在するおかげで、かなりゲーム作成の手間が下がったぞ。1980オタクのヒデオは、それがあるから片手間で作れたようなものだ」
「つまり、こういうことだね? 君はとっくにエンジンを利用する開発形態に移行済みで何ら新規に何かをする必要など無いってことだね?」
「そうだ。ただし念のために断っておくが、ANGFにはクロスプラットフォームの機能性は無いし、絵や音との相性も悪い。Direct XもXNAも使ってないしね。だから、他のエンジンの置き換えになるとは言えない。目的が違いすぎるからね。それゆえに、絵や音や移植性を重視するときに他のエンジンを使うという可能性はゼロでは無い」
「ゼロでは無いが、思想としては既にエンジンがあって当たり前の世界に生きてるってことだね」
「そうだ」
「でもさ。本当に他のエンジンなんて使えるの?」
「なんか使えそうな余地はあるぞ」
「まさか。君はC#以下の生産性しか出ない時代遅れの言語など願い下げと言っているじゃ無いか」
「最初に例に出したUnity3Dは、他の言語のサポートもあるが、C#が基本らしいぞ」
「なるほど、そりゃ君が『もしかしたら使えるかも知れない』と思うのももっともだ」
「実際に使うまで何が出るか分からないけどな」