「これは燃える!」
「どうして?」
「結果として、実はヤマト世界の地球型空母そのものになっているからだ」
「前半が戦艦っぽいヤマト2の空母だね」
「だからさ。ヤマト級をベースに地球が空母作ったらこうなるだろ、というラインがきちんと踏まえられているのだよ。別の理由は書いてあるけど、それはさておき」
「整合性ってことだね」
「結局、復活編と2520のラインをブルーノアでつないで整合性を持たせた小林誠さんらしい素晴らしいデザインだ」
「そうか」
「いやまて。それだけじゃない」
「えっ?」
「後部のみ飛行甲板というのは、太平洋戦争時代の日本海軍のスタイルからの継承性も意識できる優れたデザインだ」
オマケ §
「これではっきり分かった」
「何が?」
「小林誠さんの得意技は何かだ」
「何?」
「整合性だ」
「どういう意味?」
「メカのデザインを単体で完結させず、複数デザイン間の流れも含めてデザインしていくことだよ」
「それってどういうこと?」
「うん。たとえばZZガンダムというのは、実は全く違う3つのラインが共存したデザインなのだ」
- 初代ガンダム的な合体システム
- 先代のZガンダム的な細身ライン
- 頭部波動砲的な全く新しい骨太ライン
「それがどうしたの?」
「だから本来なら共存できないラインを、流れに乗せることで見せてしまったわけだ」
「えー」
「つまり、全く新しいコンセプトも入れつつ、過去のデザインを否定せずにその発展形として描くことで、新しいガンダムを実現されてしまったわけだな」
「そうか」
「しかも立体としての意識があるから、そのまま模型雑誌で更にこの路線を継承発展させる余地があり、Sガンダムまで産まれてしまう」
「流れの意識があるからその先もデザイン可能ってことだね」
オマケ2 §
「流れの意識があるからその先もデザイン可能ってことだね」
「それだけじゃない」
「えっ?」
「だから小林誠さんはたぶん監督ができる」
「どうして?」
「全体を流れとして把握できるということは、全体を束ねて把握しているということだ。当然、メカ以外の部分もジャッジできる素養はあるだろう」
「そうか」
「昔、人気アニメーターを監督にしたアニメがブームになったことがあるが、みなこけた。当然だ。アニメーターは全体を流れとして把握できているとは限らない。実際、みんなで協力して作ったはずのホルスの大冒険で、こんな映画を我々は作っていたのかと驚いたエピソードとかあるしな」
「だから全体の流れが見える人は貴重なんだね」
「職種を問わず貴重なんだろう。アニメータ出身で監督ができる人も、メカデザイン出身で監督ができる人もいるのだろうが、数は多くあるまい」
「自分の職分に関して何か言える人は多いが、全体が見えるかは別問題ということだね」
「だから現場からの告発も割り引いて聞いた方がいい。別の立場からは別の意見が出てくる可能性もある」
オマケ2199 §
「もしかしたら、出渕監督も流れの意識があるのかも知れないよ」
「なぜ?」
「押井守が出渕デザインを気に入らないのは、出渕デザインが業界の流れに沿っているからで、押井守の趣味が業界の流れから逸脱しているだけかもしれない」
「逸脱って。君はどうなんだよ」
「ははは。愚問だな。おもいっきり逸脱しているに決まっているじゃないか」
「ぎゃふん」
「といいつつ、世間がこっちの趣味に追いついてきてヤマトブームとか起こるから逸脱しているのかどっぷりはまっているのか分からないな」