「やっと分かった」
「何が?」
「ヤマト完結編が何かという問題だ」
「なんだい?」
「神話だよ」
「は?」
「完結編はヤマト世界の神話なのだよ。従ってヤマト世界の事実ではない」
「そう解釈すると何がいいの?」
「全てが整合する」
「全てって、どんなこと?」
「たとえば、ヤマトIIIと年代が入れ替わって矛盾すること」
「他には?」
「急激すぎてあり得ない銀河衝突だとか、回遊惑星アクエリアスだとか。いきなり消えるボラーとガルマンとか」
「山ほどあるね」
「敵もいかにも神に反逆する悪らしい」
「そうだね」
「その上、出てくる根拠に何の説明もないクイーン・オブ・アクエリアス」
「そうそう。それも理屈に合わないよね」
「宇宙戦艦ヤマトはこの作品のみ半分戦艦大和なのだ。ヤマトの行動が戦艦大和の行動をなぞっていたりする。パルスレーザーは高角砲って言っちゃうし、コスモタイガーは上が緑だし」
「そうか」
「しかも、無人のヤマトは勝手にスイッチが入って戻ってくる。まるでヤマトに人格があるようだ。そして沖田が生きていた」
「ひぃ~」
「神話世界の特徴ってことだね。でも説明が悪いのではないの?」
「そうとも言えない。映画の冒頭で神話が現実になると言っているのだが、その解釈の問題だ」
「えっ?」
「つまりさ。神話で語られたアクエリアスが実際に現れた、という解釈は×。ヤマト世界の現実として語られるレイヤーが神話になった、と解釈すべきだったのだ」
「まさか。神話の世界からアクエリアスが回遊してきたのではなく、ヤマト世界が神話の世界に引き込まれたってことか」
「そうだ。ヤマト世界を神話時空に引きずり込むのだ、と西崎さんが神話時空発生装置のレバーを押したのだ」
だから §
「だから、ヤマトに多大な影響を受けた庵野監督は某アニメのモチーフを『少年よ神話になれ』にしてしまうわけだな」
「残酷な天使のなんちゃらを描いてしまうのもヤマトファンのサガってってことだね」
「ついでに言おう。2199の出渕監督の初監督作であるラーゼフォンも最終的に神話になってしまうんだ」
「誰がやってもヤマトファンなら神話に行くんだね」
「そうだ。この特徴はヤマトファンに顕著であって、その他の人にはあまり顕著に出てこない。たとえば、ガンダムは神話にならない。死んだはずのテムが宇宙からべらべら喋ったりしない。酸素欠乏症のダメオヤジとしてシオシオに出てくるだけだ」
「ニュータイプもあくまで超能力の一種の範疇を超えないわけだね」
オマケ §
「更に気づいた。聖闘士星矢もまさに神話」
「なんでここでヤマトじゃなくて星矢が出てくるんだよ」
「キャラクターデザイン:荒木伸吾、姫野美智ということで、ヤマトでも馴染みのある荒木伸吾さんのキャラだし、実際にシリーズ中の一部となる何本もかをヤマト完結編の演出助手だった山内重保さんが監督しているのだ」
「変なところでつながった!」
「コスモゼロを燃やせ!」
「燃やしちゃダメ!」
オマケ2 §
「おちゃめ神物語コロコロポロンとは何か関係あるの?」
「それは無いみたいだ」
「ヤマトの影響で神話になっても神話の全てがヤマトの影響下にあるってわけじゃないのね」
「当たり前だ。神話の多くはヤマトの物語より長命だ。というか、ポロンは神話というよりギャグ」
「ぎゃふん」
オマケIII §
「今気づいたけど、おそらく唯一ガンダムが神話になる(かもしれない)のがカイメモ」
「機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―だね。でもどうして神話になるの?」
「ロゼ・ヤカモトの語るホワイトベースの物語は神話なのだ。生身の人間としてホワイトベースに生きていたカイは現実としてホワイトベースを回顧するが、神話と現実の記憶のギャップが物語になる」
「それでも現実が半分で神話が半分か」
「ガ○ダムとしては偉大な一歩だよ」
オマケ2199 §
「これを書き終わってメールボックス見たらこんなDMが入っていたよ」
- 【少年モウラ】『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』(車田正美)大ヒット作の続編が登場! 小宇宙よ、いまこそ燃え上がれ!!
「間が良すぎ」
「まさに聖闘士星矢で神話だものね」
「しかも、コスモよ燃え上がれって」
「どうでもいいけど、今気づいた」
「何?」
「結局、空を飛ぶ馬である完結編のロボットホースはペガサスだったのだ」
「ぎゃふん」
「ペガサス白色彗星拳!」
オマケ完結編 §
「誰がやってもヤマトファンなら神話に行くんだね」
「それで思い出した。前にもちらっと紹介した自分で昔考えた完結編の続編も、まさに神話だよ。乗組員のいないヤマトが意志を持ってお姫様を助けて巨大な怪物と宇宙で肉弾戦をするんだ。艦首のとがった部分で敵の肉をえぐるんだよ」
「それは君が変なことを考えたってことじゃ無くて、誰がやっても神話に行くってことだね」
「うん。なんら発想が特殊では無かった」
「そうだね」
「神話に親和性が高かった」
「それただのダジャレ」
オマケ復活編 §
「腹巻猫さんのTwitterタイムラインでこんな話題が」
http://twitter.com/#!/haramakineko/statuses/143895065457209344
いよいよ今週末!【イベント】Soundtrack Pub 「劇伴酒場忘年会2011」 12/10(土)15:00~ 蒲田studio80 進行:腹巻猫、不破了三 出演DJ:貴日ワタリ、浅井和康、深井歪、リアべ◆エメラリーダ、早川優
「マニアックなイベントだね」
「現在、忙しくて行ける状況では無いし、内容からしてこちらはぬるすぎて相手にならないだろうと思うのはさておき」
「さておくって何を置くのだ」
「リアべ◆エメラリーダって誰だ?」
「は? ただの芸名では?」
「これが宇宙からのメッセージだって分かるのはかなりの宇宙からのメッセージマニアだけじゃないか? エメラリーダ(志穂美悦子)さまあ!」
「だからどうした、ウロッコ?」
「結局さ、ヤマトブームの影響をもろにかぶった宇宙からのメッセージという映画も神話なんだ。リアベの実がリアベの戦士として選ばれた8人の手に渡った経緯も説明が無いし、そもそも人選に説明もない」
「神の手で渡ったとしか言えないわけだね」
「だからSFを求める者達の評判は悪くなるのだろう」
「宇宙って言わずに神話世界といえば良かったのだね」
「でも、宇宙で神話につながる世界をやるのがヤマト流。遺伝子を受けついだら宇宙で神話」
「ぎゃふん」
更にオマケ §
「しかし、変なことに気づいた」
「なんだい?」
「敵の王子が味方に救われて味方の側にいるという構造は、完結編と宇宙からのメッセージで同じ」
「似ている訳か」
「でも、宇宙からのメッセージは1978年、完結編は1983年」
「こっちが先か」
「しかし、今頃気づくびっくり」
「なんだい?」
「天本英世(太公母ダーク)」
「男の天本英世が婆さんを演じてる!」
「曽我町子(ベバ2号の声)」
「パワーレンジャーの魔女が善良なロボットの声をあててる!」
「もっとも、おいらには曽我町子=5年3組魔法組の魔女なんだけどな」
「ぎゃふん」
「更にどうでもいい発見」
「なんだよ」
「曽我町子の配役だが」
「は?」
「サイボーグ009(1968年、NET / 東映動画) - 007(グレート・ブリテン)」
「女なのに、男のグレート・ブリテンかよ」
「ミクロイドS(1973年、NET / 東映動画) - マメゾウ」
「ヒロインじゃなくてガキの方かよ」
「ピュンピュン丸(1967年、NET / 東映動画) - ケメ子……は良く分かる気がする」
「ひ~、ひねくれケメ子が追ってくるよ」
「キャストなんて気にしないで子供時代に見た番組の配役を見ると面白いなあ」
「きびしー」
「突然怖いことに気づいた」
「なんだい?」
「きっと若い人はミクロイドSをボーカロイドの初音ミクの関連商品だと思うに違いない」
「初音ミクねんどろいどSサイズ、とか?」
「そもそも、そのねんどろいどって何だよ。台風の目に体当たりかよ」
「きっと、頼りになる奴、いかす奴なんだよ」
「というわけで、若い人に怒ろう。このごわっぱ共が!」
「そこで笑った人、若くない中年認定!」