「買った後数回しか電源を入れなかったPower PCのMac miniをオークションに出した」
「古すぎだぞ。今時のアプリは1つも動かないだろう」
「そうだ。だからこんなものに値段が付くわけ無いと思って放置していた。でも、中古ショップでいい値段が付いているのを見て考えを変えた。HDDをリカバリして中身を消してオクにだしてみた」
「それで?」
「だしてすぐ入札があった。これはびっくりだ。無駄に値段が上昇するから、終了間際にバトルになるのだろうと思っていた」
「熱心ってことだね。でもIntel Macと互換性の無いPPCのMacにどうして熱意があるの?」
「そう。そこだ」
「何か気付いたことがあるの?」
「98と同じだよ」
「えっ?」
「PC-9801シリーズの中古市場も熱かった。なぜだか分かるかい?」
「それも古いじゃないか。今時のアプリはほとんど動かないぞ」
「だからさ。専用のソフトやカスタム周辺機器の寿命が尽きていないんだよ。そこで必要とされるのは、それらを利用できる本体。メーカーがもう作っていなくても、専用システムのパーツとして使われるパソコンは無くてはならない。かといって、ソフトを書き直す金を掛けるのもあまり意味がない。まだ寿命が尽きていないから」
「ええと。もしかして、Power PCのMacも同じ理由で引き合いがあるってこと?」
「そういう仮説を考えてみた」
「Power PCでしか動かない古いソフトが必須のシステムがあって、どうしてもPower PCのMacが欲しい人たちがいるわけだね」
「そういう可能性もあり得る」
「つまり互換性が無いからこそ、需要があるってことだね」
「少なくとも98の中古市場はそうだった」