「ヤマト2199は劇場公開に向けて【事件】を引き起こすだろうと予測していたが、12月を待たずに既に何件か……」
「たとえば?」
「とても口では言えないが、【これは無いな】という事例に最近遭遇する機会が増えた」
「ちょっと待った! そういう事例は以前にも多くあったはずだ」
「確かにね」
「それらとは何が違うんだ?」
「うむ。いい質問だ」
「では相違点のポイントはどこだ?」
「たとえば、昔なら、ヤマトは最終的に巨大ロボに変形するのだろう……と勘違いした人がいてもおかしくないから、間違った変な解釈が入り込んでも無理とまでは言えない」
「では今は?」
「ヤマト2199が最終回まで放送を終えて再放送している段階で、結末を理解できずに扱っている人がいるとも思えない」
「なるほど。とっくの昔に最終回を迎えた今は昔と違うわけだね」
「では本質とはいったい何か」
「それはなに?」
「クライシス21Cだよ」
「もっとかみ砕いて言うと、どういうこと?」
「ヤマト2199は、アニメでは行けない壁の向こうに最初から片足を突っ込んでしまっている。パンドラの箱を開けたんだ。それを解決する処方箋が無いまま進行すれば、たとえ良いアニメ作品作りに成功したとしても、周辺にきしみを発生してしまう」
「いつか来た道だね」
「そうそう。昔のガンダムだって、スーパーロボット扱いした無理解なCMソングとかラジオで流れていたしね」
「この壁は越えられないの?」
「みんなが自覚して頑張ればいつか超えられる。明けない夜は無い。超えられない壁も無い。ベルリンの壁だって崩壊したんだ」
「じゃあ希望は持てるの?」
「パンドラの箱には希望が残っているものだ」
「ちょっと元気が出た」
「もっとも、箱から出てきた(希望以外の)全ては災厄だけどな」
「ひ~」
「というわけで、これからは希望と災厄の両方を見ることを覚悟することが重要だな」
「あり得ないくらい完璧なヤマトの夏は終わって、秋か冬を覚悟せよということだね」
「既に秋がおわって冬に入りつつある感じだな」
「どこが秋の終わり?」
「模型のドメラーズ発売だな。あれが最大の限界点で、その先は何が起きるか行ってみないとわからんのよ」
「佐渡先生みたいに知った風な口を利くな!」
オマケ §
「それで今のままでいいという人はどうすればいいわけ?」
「別に好きならそれでいいだろう。盛大に消費してあげてくれ」
「単に君の好みではないと言ってるだけなのね」
「そうそう。あなたが好みならそれでいい」
「では質問するぞ」
「なんだ?」
「盛大に消費できない理由はなんだ?」
「今は既にグッズもメディアミックス展開もイベントも増えすぎて、とてもじゃないか全部をフォローするのは無理。必然的に好みではないものから脱落していくことになる。好みのものでも熱意は落ちる」
「熱意が落ちるのは、数が増えすぎているからだね」
「そうだ、原画展を見に熊谷までは行くが、ある意味でそこが限度。その先は、さすがに手に余る」
「ゴーバリアン研究の方が面白いとかいうなよ」
「ゴーバリアン研究はあくまで一時的なパートタイムの浮気。軸はヤマト。これはぶれない」
「じゃあ借りて見始めたダンディ2は?」
「広川太一郎の話術だからね。広義のヤマト趣味のうち」
「ああ、分かったぞ。キンキン頭が痛くなる子供みたいな声のドラマを聞くより、ダンディ2で広川太一郎の話術を堪能している方が、君にとってはずっとヤマトらしい時間の使い方なのか」
「かもな。もっとも今改めて見て分かったけど、吹き替えの無い部分を見たことも含めて、もともとダンディ2は面白いテレビドラマだ。広川太一郎の話術だけが面白いわけじゃない」
「でも、広川太一郎の話術も聞くのだね」
「当然だ。それも面白い」
「それで広川太一郎のどこが最も面白いんだ?」
「うん。ヤマトであれだけ真面目な古代守だった広川太一郎が、ダンディ2ではギャグキャラになるところ」
「ひ~」