「勘違いしている人もいるようだが、【現在進行形】【未知の未来】の作品に関してはあまり語る気が無い。特に結末が全く見えない場合はそうだ。そのような理由により、むらかわ版コミックとハリウッドヤマトに関しては、今のところ何も語る気が無いので、そのつもりで」
「むらかわ版コミックに不満があるの?」
「不満というよりも、落とし所が見えないので、1つ1つの表現に何も意見が言えない状況だ。むろん、むらかわ先生が上手いことは良く分かっているから、今更言われるまでもない。ビジュアルや個別の演出について意見を言いたいわけではない。ただ、物語の流れがまだ見えてこないだけだ。ちなみに【見えてこない】のは中盤までならノーマルな状態。終盤でも上手い作品は見えない。意外性で読者を引っ張って終わらせるなら先を読ませないのが基本だからね」
「ハリウッド版は?」
「情報らしい情報が無いのに、何か意見が言えると思う方がおかしい」
「ネタとしてわざと間違った解釈ができる程度なのだね」
「そもそも映画は期待を裏切ることが機能性として含まれるので、あまり盛大にやると、それを裏切るように作ってくるから、やるだけ無駄」
「割り切ってしまっているね」
「無論だ。おいらは今過去に生きている。未来は二の次でいい」
「もっと分かりやすく言えばなんだい?」
「今すぐ見られない映画のことは取りあえず頭から取り除く。今すぐ見られる映画だけでも見きれないほど多いのだ」
「全ては見てからってことだね」
「そうだ。未完成の映画の動向を逐一監視するような真似はしない」
「欲しいのは完成品だけだってことだね」
オマケ §
「それでも語れよ」
「そうだな。彼らは宇宙戦艦ヤマトというタイトルを使わない。タイトルはStar Blazerであり、宇宙船の名前はArgoだ」
「それで?」
「ヤマトって戦争ものとしてリアリティを出すことは難しいので、ここは冒険がメインになる」
「それで?」
「あまりに多い不整合を何とかするにはもう神話の世界だってことにするしかない」
「どんな神話?」
「やはりギリシャ神話だよ」
「それで?」
「放射能除去装置なんて嘘くさいから目的は金羊毛ってことで」
「どんなタイトルになるんだい?」
「アルゴ探検隊」
「……。ダメだ。プランBで行こう」
「じゃあ、舞台は1970年代にする」
「どんな映画だよ」
「もうあの設定では説得力が得られないから、全ては作中の映画だってことにする」
「えー」
「しかも本物の映画じゃない」
「どんな映画だよ」
「イランに捕まった大使館員を救出するためのダミー企画。救出部隊は架空の映画のスタッフという設定でイランに入るの」
「どんなタイトルになるんだい?」
「アルゴ」
「……。ダメだ。プランTBで行こう」
「じゃあ、国際救助隊が」
「それはサンダーバーズアルゴー」
オマケ2 §
「うん。だからね。一番ビックリするのは何かという問題なのだよ」
「何が言いたい」
「以下の2つのどっちが驚けるか」
- 過去に見た映画を今もう1回見ることで新しい価値を発見する
- 新作映画を見て新しい価値を発見する
「君はどっちなんだ?」
「前者だよ」
「理由は?」
「だって、知っていると思っていた映画から何かが見つかる方が興味深いだろう?」
「何かが見つかるかも知れないと思って見る新作映画よりも、驚きは大きいわけだね。それが、あえて君が過去に生きている理由だね」
「そうだね」
「現代に生きる気は無いの?」
「生きているさ。2014年なりの世界とは生で向き合っているぞ。あんまし面白くないけどな。2014年の社会に対して言いたいことは山ほどあるが、もうくどくどは言わない」
「なんで?」
「既に言ったことを繰り返してもくどいからね」
「でも思っていることは変化していないわけだね?」
「そう。そこは誤解されないよう」
「ひ~」
オマケIII §
「だから模型にしても古い模型を作りたがるのかい?」
「それはまた話が違う」
「何が違うの?」
「新作模型にもやはり弱点は多いからだ。より正確かつ精密に進化しているという話と裏腹に、抜け落ちてしまっているものもある。ある程度の腕があれば、誤魔化しながら旧作模型も組める」
「誤魔化しかい」