「というわけで、どうやらガンダムAGEで大きくずっこけてヤマト2199が売れて、ガンダムピンチという状況を挽回するための最終兵器が投入されたようだ」
「それがGレコ?」
「そうだ。Gのレコンギスタだ。おそらくガンダムの最終兵器」
「富野監督カムバックというわけだね」
「そうそう。ともかく本気でヤマトを殺しに来たという印象だ」
「わあ。それは恐い」
「うん。Gレコ、ともかく2話まで見た範囲では凄く出来が良い」
「へー。君も認めるわけ?」
「うん、認める」
「今更ロボットアニメのどこがいいの?」
「ロボットのコクピットが個室としてあまり機能していないんだよ」
「へえ」
「そもそも、歩く通学メカみたいなロボット。あれはいいね。ガラットかロボノイドかって感じで」
「どうして?」
「みんなで乗っていて、しかもオープンエア。身体が剥き出し、走っていると会話や表情でいろいろ良く分かる」
「それがいいんかい」
「巨大ロボットも出てくるけど、顔がいろいろなパターンに変化するのはいいね、人の顔になっていないから、あまり人格性を持たない。しかし、表記が変化して表現はしているんだ」
「それだけ?」
「いや、レコンキスタみたいなレコンギスタという用語。登場する法皇様。極めて長い間技術が停滞してる時代設定。そして、レコンキスタの終着駅がスペインのグラナダ陥落とすれば、これは本気でああいう物語をやっちゃう気なんだな、という気がする。それをやられるとかなりの強敵という感じになるかも知れない」
「どこが強敵なんだよ」
「633とか442とかいう数字を使ったヤマト2199には強敵だろう」
「しかしなあ、君がそんなに手放しでガンダムを誉めるかね?」
「うん、いい質問だ。はっきり行ってGレコの出来は良いが、レベルが高すぎて実はマニアのかなりの割合は既に脱落していると思う。そもそも、ヤマト2199だってハードルは高い。しかしそれほど大きな不満は噴出していない。ガンダムに逃げるという逃げ道はあるからだ。ところが、Gレコはその退路を断ってしまった。∀の路線は間違いでしたと頭を丸めで謝るどころか、あの路線を更に推し進めている。∀の時点でもかなりの脱落者を出しているからね。∀は良いアニメだと思うし大好きだけどね。でも盛大に脱落者が出た。ついでに言えば、∀の時はシド・ミードは分かっていないという言い方で逃げられたが今回はそれもできない。ますます逃げ道が無い」
「それも恐い話だ」
「富野さん、巨大ロボットの否定者、ガンダムの否定者としてそこにいるから、そこはいいよな」
「オタクに敵対してる……」
「まあそういうわけで、実は商業的な意味でのGレコはぜんぜん恐くないのだが、それとは別に、識者に【良く出来ている】と言わせてしまう可能性は低くない。部分的に2199よりも優れている要素もあるしね」
「強敵ということだね」
「ガンダムごときに負けて欲しくは無いけどね。ただそれはそれとして」
「互いに酒を飲んでたはずの好敵手ってことだね」