「ヤマト2199がずっと新宿ピカデリーで上映されてきたことに関しては、実は不満がある」
「不満とは?」
「映画を見る場合は特定の映画館を馴染みに決めておき、そこに通うと良いと思う。そいこで、TOHOシネマズ府中に決めた。会員にもなった。まあTOHOシネマズ渋谷でもいいんだけどね。会員はTOHOシネマズ全体に有効だから。でも、府中の方がちょっといい」
「分かった。TOHOシネマズならいいのにピカデリーだったからだ」
「そうそう。でも今回やっとヤマト2199をTOHOシネマズ府中で見られたので、1つの溜飲が降りた」
「TOHOシネマズ府中に決めた理由ってなに?」
「以下の通りだ」
- 電車の乗り換え無しで行ける
- 比較的新しいシネコンで設備が良い
- 8スクリーンあってかなり多様な映画をやっている
- その割に客が少なく、空いている場合が多い。ゆったり見られる。前と左右に他の客がいない場合も多い
- 駅から近い。雨が降っても傘無しで駅から劇場に入れる
「なるほど。でもさ。客が少ないってことはヤマトもガラガラ?」
「そうだな。既に新宿ピカデリーその他で4週間やってる映画だ。今更来るのは少数派だと思った。まして府中だ。でもね、たぶん13~14人ぐらいいたよ。予想よりも多かった。客が全く来ないという事態は避けられそうだ」
「そうか」
「まあともかく、比較的小さいスクリーンで更に空席が目立つのは、府中ではよくある風景。そのことは、致命傷ではない」
「さすがTOHOシネマズ府中に通っている男」
「あまり客が少ないともっと小さいプレイミアスクリーン行きだけどな。それはそれでい」
「なんで?」
「座席数が少なくスクリーンも小さいが設備がいいんだよ。ゆったりとした椅子に座って落ち着いて見られる」
「さすがTOHOシネマズ府中に通っている男」
「まあ昔は毎週1回は行ったけれど、今は通っていないんだけどね。行くのは年に数回ぐらい」
「なんで回数が減ったの?」
「TSUTAYA DISCASで古い映画がガンガン郵送されてくるからさ」
「結局、映画を見ているのか」
「ともかく今日の感想だ」
「そうだ。それを頼む」
「まず、最初のメ2号作戦はやはり良い。焦点がぶれていないので、見やすくて燃える。しかも、くどくない。スピーディーに進行する。ナイスだ」
「そこは良いわけだね」
「そうだ。そして主題歌になるとそこからベースの音が楽しめる。映画館は音響が良いからいいね。府中でもやはりベースの音が楽しめたよ」
「主題歌に続いてその後のBGMもベースが楽しめるわけだね」
「それから、いちばんこの映画で燃えるシーンが、メルダの前に銃を置く古代。ここがいちばん気持ちが盛り上がる」
「イスカンダルをバックにした古代と雪の再会ではないの?」
「映画としてのクライマックスはそこにあるのだがね。実はそこドキドキしないんだよ」
「なんで?」
「デスラーが倒された後なので。敵がもういないんだよ」
「うーむ」
「では、その先の感想に行こうか」
「キスだろうとその先だろうと?」
「違う違う。おいらはアナライザーではないぞ」
「ではなんだい?」
「追憶の航海は良く出来ている。特にTVシリーズの【これはいかんだろう】という大きな問題はほとんどカットされて直面しないで良いようになっている。しかし、小さな問題はけっこう残っている」
「なんで切らないの?」
「切るとストーリーがつながらなくなる」
「ぎゃふん」
「結局、追憶の航海は出来が良いので、残ったアラがより良く見えてしまうという問題がある。前回の鑑賞のあたりから、そこが気になり始めた。結局、ここは良くないなとか、あそこは直したいな、とか。そういう小さなアラが目に付いた」
「それはダメってこと?」
「逆だよ。何回も見ないと気づかないってことは、編集素材としてのヤマト2199の出来は破格に良い。全体の構成に難があっただけで、個々の描写は良いものが多かった。だから再編集で作品が成立する」
「それはヤマト2199肯定?」
「そうだ。でもね、もう1つ思ったことがある。ヤマト2199はヤマトではないな、と。凄くヤマトっぽい始まり方だったので、ヤマトとして鑑賞したけれど、633工区を波動砲で破壊してガミラスを守ってしまうヤマトは本質的にヤマトではない。ヤマトの終わり方にはいろいろなバリエーションがあるとは言え、やはりデスラーは自分の星を失い、古代は激しく後悔するような結末がヤマトらしい。そういう意味で、ヤマト2199はヤマトのように見えるが実は全く違う話を語っていて、その結果として焦点が少しぼけてしまっている。追憶の航海は、作品のブレを発生させる要素をどんどん切り落として安定させているが、その安定感が逆に2199のブレの存在を意識させてしまう」
「つまり、追憶の航海の出来が良すぎて、気づかなくてもいいことに気づいてしまうわけだね」
「そうだな。追憶の航海でも、実は煮え切らない展開がいくつもある。それを切ってしまうと話がつながらなくなってしまうから仕方が無いとも言えるが」
「でも追憶の航海はOKなんだね?」
「そうだ。OKだ。破格に良くできている」
それはどういうことか? §
Subject: 間もなく公開される映画に関する話は一切しないし考えない
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20141102100435
名前: トモネコ
本文:
「イデオン・接触篇では無いヤマト・追憶!」
「追憶」劇場鑑賞お疲れ様ですm(__)m
私は「追憶」はイデオンの「接触篇」的な捉え方をしていましたが、
トーノ様の意見、解説でこれは一本の映画作品として捉えなければいけないと改めて思い直しました。
事実、ネットで「追憶」の意見をネットで拾うとこの作品を評価している方々は沢山の映画感想の中の一つとして感想を述べ、評価しているようです。
トーノ様も映画を様々なジャンルを御覧になり多数の作品の感想を述べられています。
反対にヤマトを中心に意見を述べている方は
「新しい情報はファルコンの着艦シーンのみ」
「目新しさが無く、劇場で眠くなった」
「自分好みの作品(編集)で無いのでDVDは買わない」などの意見が多い様に感じます。
・DVDへの不満・
相変わらず、日本語字幕がありません(号泣)
字幕追加でコストがアップするのでしょうか?
私はDVDを沢山、購入していますが大きな理由の一つに字幕付きで視たいからなのですが...
(ガンダムUCはどれほど字幕に救われた事か)
もう一点、エンディング中でもストーリーが進行しています。
スタッフロール字幕、無しのメニューもぜひ欲しかったです!
「追憶」を単独作品として捉えると沖田の最後に文字が被さる事はとても残念、無念です!
もし、「方舟」にも日本語字幕が無いとバ○ダイに殺意さえ覚えます!
「まず解釈の問題から。追憶の航海は1本の独立した映画として見ることができる。その根拠は、劇場パンフの加戸さん森田さんのインタビューで、【2時間の劇場映画を作ろうというスタンスで作業した】と明言されている」
「2時間の劇場映画とはどういう意味だい?」
「何の予備知識も無い人が見に来て、2時間前後で始まって終わって納得して帰って行くものだ。そのためには、以下のことが必要だ」
- 予習を強要してはならない
- 2時間前後で終わらなければならない
- 2時間前後で伝えきれる内容だけを語らねばならない (+αをこっそり入れるのはあり)
- 誰が見ても分かることだけを語らねばならない
「それは何を意味するんだい?」
「ファンの個々人が持っている【見どころ】はほとんどカットされると思っていい。それは2時間で語りきれないからだ」
「ひ~」
「そして、キャラの名前の字幕が出ないのは不親切という意見は本質的に間違っている。いちいち名前が出るとそれは暗記の強要になってしまい、娯楽としては好ましくないのだ」
「暗記は嫌だよね」
「だから、ほとんどのキャラは名前を覚える必要が無い。これがモブ化と言っている方法論だ。この映画で意味があるのは沖田、古代、雪、スターシャぐらいで、真田と新見は名前が分からずとも印象だけ分かっていればOK。相原とか南部あたりになると、ああ、そんな奴がいたな……ぐらいでいいのだ。名前なんか知らなくていいわけだ」
「分かった。これは新作を見るための予習の映画じゃないってことだね」
「そうだ。一般人は予習の映画なんか見たくない。それは暗記の強要だからだ。それよりも、【面白かったからまた見よう】と言わせる方が重要。そうすれば方舟の客も増える。そのためには、始まって終わる1本の映画として出来が良いことが重要だ」
「確かに」
「しかしね。実はこれを1本の独り立ちした映画と見なす人と、あくまでTVシリーズのダイジェストと見なす人が意外と拮抗している」
「たとえば?」
「追憶の航海関係でも、映画本編に無いシーンを引き合いに出して説明している資料が周辺に山のようにある。オフィシャルの印刷物でもね」
「それはオフィシャル側が既に混乱しているという意味かい?」
「そう思う」
「なぜ混乱してしまうの?」
「追憶の航海は良い仕事をしすぎたからだと思うよ。この水準に付いてこられない人はスタッフにも普通にいるだろう。ファン側にいるのは当然としてね」
オタクと映画マニアの差 §
「問題はここだよ。なぜ受容できない人が多数出てくるような作り方をしまったの?」
「それはね。オタクと映画マニアの差と考えるともっと分かりやすい」
「オタクと映画マニアって違うの?」
「もちろん個々人の資質は人それぞれだけど、平均するとやはり差があると思うよ」
「それはどういう差だい?」
「映画マニアの方が辛辣で要求が高い」
「それはオタクの要求は甘くて低いってことかい?」
「その解釈で間違って無いと思う」
「たとえば?」
「TVアニメは人気が出れば放送延長OKなんだ。でもね、映画は人気があっても2時間前後できっちり終わらなければならない」
「いろいろ注文がうるさいってことだね」
「そうだ。だからこそ、良い映画を作るのは難しいし、良い映画は貴重なのだ。だからこそ、良い映画を作りたいと夢見る人は多いし、実際に良い映画にチャレンジする機会を得ればチャレンジする人も多い。【光と闇の遺産】はまさにそういう意味でのチャレンジそのものだ。加戸さんは分かっているはずだ。森田さんもね」
「でも、その認識はオタクには無いわけだね?」
「全員に無いとは言わないが認識の希薄な人は多いだろう。基本TVアニメや漫画はいくらでも延長打ち切りOKの世界だからね」
「じゃあ、なぜオタクの水準に合わせないのさ」
「映画館でやるからさ。そこはオタクのルールで動く世界ではない。映画マニアのルールで動く場なのだよ。だからオタクはアウェイなのだ。それゆえに、まず映画館で上映される映画は映画のルールに従うことが基本になる。まあ、作品のファンしか来ないようなファンムービーなら、オタクのルールで作られる場合があるけどね」
「追憶の航海はファンムービーではないわけだね?」
「そうさ。客を方舟に誘導する役割がある以上、ファン以外の一般客に対して開かれている必要がある」
「映画館に来る一般客ってのは映画マニアなの?」
「全員がそうではないが、流れを作るコアな客は映画マニアだと思うよ」
「子供の頃にヤマトを見たので、追憶の航海も見てみるか、と思った映画マニアを釣れれば良いわけだね」
「釣るだけではダメだ。良いと思わせねば。そうじゃないと次も見てくれない」
「た、確かに……」
「だからヤマト2199ファンに向けた作りではないんだよ、追憶の航海は」
「でもそれはあまり良く理解されていないのだね?」
「ファンのみならず、一部のスタッフにもね」