「ある時期、安彦アニメには興味が無くなっていた」
「その理由は?」
「巨神ゴーグ、クラッシャージョウとつまんないアニメ2連発で、興味が失せた。だからアリオンもヴイナス戦記も見ていない」
「それで?」
「結局、今頃になってヴイナス戦記を見たのだが、凄い映画だってことは良く分かった。特に戦車の描写が凄い」
「でもヤマトは関係ない」
「そこだっ!」
「どこだよ」
「ここで唐突に、YAMATO 2520に話が飛ぶ。YAMATO 2520の第1話を見た時に、信じられないほど良く出来ていて、信じられないほど面白かった。まるでヤマトじゃないみたいだ」
「おいおい」
「そう思ったのは事実。でも理由が分かった。ヴイナス戦記とYAMATO 2520の特に序盤がそっくりなんだよ。
- 一輪バイクでレースしている→小形飛行機でチキンランしている
- 占領下の首都→セイレーンの支配下の惑星
- 騒ぐ若者達→騒ぐ若者達
- 女性キャラが多い。特権的なヒロイン→女性キャラが多い。特権的なヒロイン
- 大人の分別を振り回す割に途中から仲間入りしてしまうおっさん→大人の分別を振り回す割に途中から仲間入りしてしまうおっさん
- おっさんは戦争敗北経験者→おっさんは戦争敗北経験者
「でもなぜリベンジ?」
「ヴイナス戦記は歴然と商業的に失敗した」
「だからリベンジを要するわけだね」
「しかし、YAMATO 2520も商業的に失敗した」
「完結できなかったわけだね」
「でも、おおむね見えてきた。このタイプのアニメは、そのままメガゾーン23にまで遡ることができる」
「メガゾーン23はけっこう売れたらしいじゃないか」
「そうだ」
「どこに差があるんだよ」
「おそらくロボットだ」
「は?」
「ヴイナス戦記とYAMATO 2520に無く、メガゾーン23にある最大の要素はそれだろう」
「まさか」
「作り手の感覚で言うと、ロボット抜きで話を成立させるのは、作品が良質である証拠だ。しかしながら、SF的なアニメを見る普通のマニア層からすれば、ロボットが無いということは、入り込むためのハードルを押し上げてしまう。取りあえず、ロボットさえ出れば、かっこいいヒーローロボが颯爽と敵を倒す爽快感が得られるものと暗に想定してみることができる」
「でもさ。メガゾーン23は颯爽と敵を倒してないよ。最後ボロ負けして終わっちゃうよ」
「そうだ。でも、その結末は実はどうでもいい」
「なぜ?」
「見始めるときは結末を知らずに見るからさ」
「ぎゃふん」
「そして見終わったあと、手応えさえ残ればそれは肯定的に評価される」
「ではYAMATO 2520はどうなんだ?」
「見てくれさえすれば手応えを残せた可能性はあるのだが、そもそも見てもらえなかった可能性が高い。見ても分からなかった可能性もあるけどな」
「見ても分からないって……」
「ヤマトも古代も雪も出てこないのでは、単純にヤマトファンの期待は裏切られる。YAMATO2520ファンは存在するが、普通のヤマトファンと重なるとは限らない」