「なぜこれを見ようと思ったの?」
「当初は他にいくつかの候補があったのだが、ネットの予約システムを見ていると、驚くほどハイペースで席が埋まっているのを見て、これは見た方が良いかなと思った」
「見てどうだった?」
「最初のうちはどうかなと思ったけど、凄く面白かった」
「どこが面白いんだ?」
「最初のうち、原作のダイジェストを忠実にやっているだけで、確かに面白いが原作を読んでいるとイマイチ楽しくないと思ったのだ。雑多なエピソードを順番にやっているだけで全体がつながっていない」
「それじゃダメじゃん」
「ところが、終盤になって突然原作からどんどん逸脱していく。繋がっていない雑多なエピソードが全部繋がってきて、1つの結末をきちんと現出させてくれる。あっぱれな構成だ。上手い」
「序盤はイマイチなんだろう?」
「映画はザッピングできないんだよ。だから、基本的に終わってから出る。終わった時点で満足させていれば、途中は少し弱くても構わない。むしろ、油断を誘うために少し弱く出ても良いぐらいだ」
「それでも演出テクニックということだね」
「そう。油断を誘う構成であった。これは上手い」
「それで、この映画だけでは終わっていない件は?」
「映画としては終わっているんだよ。最後に続きと出るけどね。1本の映画としてはちゃんと終わっている。これは偉い。当然暗殺は続くから、続きの映画はあるかもしれない。でも、あってもなくても筋が通る作りになっている」