「完結編の問題は、ハイパー放射ミサイルを喰らったヤマトが落下した惑星にストーリー上の意味が何も無いことだ」
「何も無い?」
「あの惑星が何であるかの説明もないし、名前も出てこない、あのあと1回でも出てくることもない。単にヤマトに衝撃を与え、スイッチを入れるだけの存在だ」
「機械的に意味があっても、物語的に意味が無いわけだね」
「そう。そして、映画という存在はそういう無意味さを嫌う」
「なんで?」
「2時間前後しか時間が無いからさ」
「なんてこった。でもさ。それを言ったら方舟のクラゲの惑星も同じじゃないか。ストーリー的にどこにもつながらない」
「そうなんだか。その話は横に置こう。ここは完結編の話だ」
「分かった。完結編だとどうなるんだ?」
「実は考えたんだが、あれはアクエリアスにしておけばもっと話が上手くまとまった気がする」
「ほう。それはどういうことだい?」
「クイーン・オブ・アクエリアスの幻が破損したヤマトを撫でる。そこに大波が襲ってヤマトに衝撃が走る。そこでスイッチが入ってヤマトが地球への航行を始める。そんな話の流れなら、クイーン・オブ・アクエリアス登場の唐突感を和らげることもできて、一石二鳥だったかもしれない」
「じゃあ、ディンギルの少年は誰が回収するんだよ」
「アナライザーはまだ健在。波にさらわれて甲板に打ち上げられた少年を見て、助けようとする。少年を艦内に運び込むが、大波のショックでバラバラになってしまう」
「じゃあそれで決まり?」
「いや、コスモハウンドや乗組員を失い大失態を演じる古代も見たいから微妙だよなあ」
「そういうことかい」
オマケ §
「ヤマト模型ラインナップの病理の源泉が垣間見えた?かもしれない」
「えっ?」
「実は面白いことに気づいた」
「それはなんだい?」
「以下の本の説明文にそれはあった」
「どこが問題なんだい?」
「ここだ」
ヤマトをはじめとする艦艇・艦載機群。その細部と質感をお伝えするために、この本のためだけに用意し、調整重ねたディテール素材を総数200点近く収録いたします。
「普通の文章に見えるけど?」
「いいかい。この本は【艦艇精密機械画集】と題しているが、実は英題の【HYPER MECHANICAL DETAIL ARTWORKS】には艦艇というニュアンスは無いし、実際に艦載機群と言っている以上、艦艇に限定する気が無いことは明らかに分かる」
「それで?」
「ところが、艦艇以外に入るのは艦載機だけなのだ」
「は?」
「つまりだね。メカを扱う画集であるかのように見えるのだが、艦艇と艦載機以外はメカであっても扱わないってことだ」
「艦艇と艦載機以外のメカとは?」
「たとえば、こういうものだね」
- 自動車類
- 輸送機類
- 輸送船類
- 戦闘車両類
- ガミロイド/イスカンドロイド
- 銃器類
「かなり多いね」
「そうだ。実は真面目に分類してみると、もの凄く偏っている」
「その偏りに意味があるの?」
「ある。実はプラモデルのラインナップとほぼ同じ」
「バンダイのプラモデルも、ほぼ艦艇と艦載機だね」
「辛うじて、戦車がはみ出しているぐらいだが、あれはオマケ的にセットに付いてるだけだからな」
「つまり、バンダイのラインナップが偏りすぎていると言う前に、もっとそれ以前の段階で一部のメカだけを優遇して扱う変な偏りが存在していたのではないかってことだね」
「そうだ。プラモの企画のみならず書籍の企画もやはり偏った。これはなぜだ?」
「もっと根本的なところで何かが違うわけだね」
「そうだ。だがそう思えば、もともとおかしな偏りは頻繁に見られた」
「君がもう2199は要らないよと思うぐらいに、なんじゃこりゃという商品展開が続いたわけだね」
「そうそう。キャラなら劇中で活躍したキャラを差し置いて、ほとんど出番が無い女性キャラばかり充実させるおかしな商品展開もやはり変に偏っている」
「その偏りがメカの世界にもあったわけだね」
「そうだ。でも、商品展開ってそういうものじゃないだろう?」
「サンダーバードなら1号~5号だけでなく、ペネロープ号もラインナップにあった方がいいわけだね」
「そうそう。レンズマンだって、超不人気のウィーゼルのプラモはやはりあった方が良いのだ」
「じゃあ、結論としては?」
「2199を巡る病理は思った以上に根深い。まあ、2199の商品展開で俺は楽しい。どんどん金を使うという人はそうしてくれ。その行動に何も異議は差し挟まない。どのような趣味を持とうと、他人に迷惑を掛けない限りそれはその人の自由だ」
「自由だから君も自由に振る舞うわけだね」
「そうさせてもらう。というわけで、おいらはガルマンガミラス戦闘空母を作るよ」
「ヤマトIIIも商品展開偏ってないか?」
「それも事実だろうが、変なメカをかなりラインナップに入れたのも事実だ。その努力は買いたい」