本来のヤマト2199 §
「じゃあ、君が考えた本来のヤマト2199の企画とは?」
「たとえば以下のような内容が推定できる」
- ガミラス(の少なくとも一部)との和解
- イスカンダルが敵対者の属性を持つ
- 終盤において、主要登場人物あるいは地球そのものの死または大きな傷
「おおむね、そういう方向に沿っているようにも思えるよ。一部とは和解したし、スターシャは敵対者っぽく振る舞うし、終盤で死んじゃう主要登場人物はいるし」
「程度問題として、もっと徹底的に行ったのだろう」
「というと?」
「たとえばさ。イスカンダルであった水着とか花摘みとか、あの辺のはっきり言ってつまんないどうでも良いシーンは、本来ならもっとえげつない辛辣なシーンが入る筈だった時間の辻褄合わせではないかと思わないこともないのだ」
「それではファンに受け入れられないから、スターシャは説得されてその気になるような流れにしてあるわけだね」
「でもね。スターシャには悪女っぽい雰囲気がかなり残っている感じだな」
「ひ~」
ヤマト2199とは何か §
「結局ヤマト2199とは、簡単に言えばスターウォーズ3を作ろうとしたが、諸般の圧力からスターウォーズ4的に作られた結果、印象がはっきりせず、煮え切らない内容になったのだろう。つまり、作品に背骨がない」
「背骨がないとは?」
「軸になる価値観が無いんだよ。企画を考えた当初はあったと思うけどね。しかし、企画が成立するためには邪魔なので、いつの間にか消えてしまった。しかし、背骨が無いのにニーズはあるから作品としては作られる。作られるが迷走の結果は、迷走の結果でしかないので、なかなか上手くまとまらない。一応、ヤマト2199テレビシリーズの最終回はそこだけは上手くまとまったと思うのだがね。結局方舟という駄作が【真の結末】を名乗った結果としてぶちこわしになってしまった」
「結論をまとめるとどうなる?」
「ヤマト2199が本来目指すべきだった地平は到達不能だったと思う。スタッフが共有する目標としては設定不可能であり、全員が一丸となって目指せないものだと思う」
「でもそれが求められたわけだね?」
「求めるのは簡単だ。洋画を見て【これ】と言えば良い」
「でも、実現は難しいわけだね?」
「世界に通用するクールジャパンという幻想にあぐらをかいていた人達にはジャンプの幅が大きすぎる」
「分かった。無理のある目標設定によって迷走し、クラシックなヤマトにも、新しヤマトにもなれなかったのがヤマト2199ってことだね」
「どのみち、迷走しなくても、クラシックなヤマトにも新しヤマトにもなれなかったのだよ。思い出補正が掛かっているからクラシックなヤマトの水準は過剰に高すぎるし、新しいヤマトはファン層が受け付けない」
「受け付けないって証明できる?」
「新宇宙戦艦ヤマトという事例はある」
「それは見なかったことにしよう」
「そうだな」
「話はそれでおしまい?」
「いや、実はもう1つ重大な推測が可能になった」
(続く)