「ヤマト2199の評価がどんどん下がっている、ということの経緯と理由を説明してみたい」
「ヤマト2199そのものは変化していないのになぜ?」
「いや、変化もあるのだ」
「えー」
第7章劇場上映 §
「まず。それほど悪くなかった第7章劇場上映」
「どこがポイントだ?」
「第25話のゲールが割と格好良かったし、第26話も綺麗に話がまとまって、最後の合唱は良かった」
「ふーん」
「まあ、全26話には文句を言いたい要素も多々あったが終わりが良ければそれでいいか、という感じで。水に流した」
「なるほど」
「それに、続編はもう作れないような構成になっていたから、思い切りの良さも買った。それだけの決意があれば、続編からの中途半端なネタの援用も認めよう」
TV放映 §
「ここでポイントが高かった合唱が消えた。終わりの印象がちょっと怪しくなった。しかも、かっこいいゲールが消えて間抜けなゲールと間抜けなフラーケンが登場」
「間抜けな藪もだね?」
「まことに要らないものが増えて第25話の印象も悪くなった」
方舟公開 §
「第26話で一応話はまとまっていたはずなのだが、そこで真の結末はこっちだと言われてしまった。ところが、凄く出来が悪い。こうなると、水に流した筈の苦情が水に流せなくなってきた」
「たまりに溜まった屈折が噴き出してきたわけだね」
「ともかく映画としても首を傾げるし、ヤマトにしては地球を救う意欲に乏しいし、ヤマト2199にしては古代が仕切りすぎる」
「映画としてもヤマトとしてもヤマト2199としても不満が残るわけだね」
「良いところは、数えるほどしかない」
続編の情報 §
「実は、ヤマトクルーの会報に続編の情報が載ってしまったことで、【続編はもう作らない潔さ】までが消失した」
「ってことは?」
「そうなると、つまみ食い的に先のシリーズの要素を都合良く変形しながら消費してしまったのも、あまり肯定できなくなってきた」
「この名曲デスラーの襲撃をこんなシーンで消費するなって感じだね」
「ヤマト2屈指の名シーンを彩る重力アンカーを既に使ってしまったこともな」
まとめ §
「いまここなんだ?」
「そうそう。問題はこれで終わりという保証がどこにも無いことだな」
「ひ~」
「ヤマトの続編企画の話は、結局自分で自分の首を締めながらひたすらハードルを上げて行っている感じだな」
「少しでもぬるいものを作れば一発で蹴られそうだね」
「実際は方舟がそうだった。あれはもう、 少しでもぬるいものを作れば一発で蹴られてしまう状況なのに、信じがたいぬるま湯を作ってきて実際にかなり蹴られた」
「でも、それは自爆なんだね?」
「セットカウントは30秒。これが最後の決め手だよゲール君って台詞すら無い自爆だ」
「方舟は素晴らしい素晴らしい素晴らしい最高ってファンには理解できない意見かも知れないよ」
「繰り返すが映画はたかがエンターテイメントであり受け取り方は人それぞれだ。あれが大好きで、こちらが下手で見てられないと思ったカットを、素晴らしい描写だと誉めている人がいることも知っている」
「でも、君はそう見なかったのだね?」
「いや。だって完全新作劇場版です。普通の映画です。人気があれば上映期間が延びますって、叫びを聞いて見に行ったんだぜ。そういう視点で評価するだろ、普通」
「TVシリーズとは合格点の水準が違ってしまったわけだね」
「そう。彼らが自ら合格点の水準を押し上げたのに、実際に蓋を開けてみるとTVシリーズ以下だった。これはあまりに厳しい」
「それは逆にいえば、TVシリーズのイベント上映の際は、映画として評価してないってこと?」
「してないよ。評価の水準は、あくまでTVアニメの水準に下げていた。映画館で見るとしてもね」
「でも劇場版と言った瞬間に、評価の水準が上がるのだね?」
「そう。上がる」
「TVシリーズの時点で劇場版並みの映像って言われてなかった?」
「個別のカットの密度に関してだけはそうだったが、ストーリー構成の粗雑さは、とうてい映画のレベルではなかったよ」
「君が伏線だと思って回収されるのを待っていた描写の多くは未回収ってことだね」
「しかも、またしても方舟で、気になった描写がことごとく未回収に終わってしまった」
「分かった。【そんなことはどうでもいいから、ちゃんと伏線を回収して地球に急げよ古代】って思いながら君は見ていたわけだね」
「まあ昔のヤマトでも、伏線回収しないとか、回収シーンだけあって伏線がカットされているとか、よくあったけどな」
「ぎゃふん」