2015年08月14日
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エリーサとスターシャはどこが食い足りないか

Written By: トーノZERO連絡先

Subject: ヤマトと世代特撮ヒーロー論

Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】

URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20150810082212

名前: めとろん

メールアドレス:

本文:

トーノ様 こんばんは。

第3世代ヒーロー説、私も同感です。

少なくとも2199でも、もっと深く切り込んで行かずに結果的に中途半端に終わってしまった箇所が2つはあります。

それはエリーサとスターシャに係る部分です。

戦地に赴きっ放しの軍人の夫との隙間を埋めるべくか、夭折した息子への償いの為か、レジスタンスに身を投じてタックルまでして投獄されたエリーサも、あっけなくユリーシャ(森雪)の御世話係に堕ちて(?)しまいました。

スターシャにしても、「かつてイスカンダルは大マゼランを血に染めた」とイスカンダル悪玉説をブチ上げて、「おおっ!」と思わせたのも束の間、古代守の魂にクネクネする普通の女に成り果ててしまいました。

2199は群像劇なのだと言われるかもしれないですが、それにしても仰る様に心の闇を切り裂いていく様な展開も見てみたかったですね。

「めとろんさんの意見にはうなずける部分がある」

「なぜだい?」

「確かに、エリーサとスターシャの描写がもの足りないからだ」

「どこに問題があるわけ?」

「夫を死なせたヤマトに乗ったエリーサには何か感情があるはずなのだが、そういうものは一切描かれていない。まあ、そもそもディッツ一行のヤマト訪問はナレーションで流されてしまったシーンであり、エリーサまでフォローできる時間は無いと言われるとその通り。しかし、スターシャになるとイスカンダルでのエピソードには水着とか花摘みとか、どうでもいいシーンが多くあって時間不足とも言いがたい。スターシャはデスラーと古代守と地球の運命の中核にあって物語の根幹をなすキャラクターであるにも関わらず、スターシャに踏み込んだ描写がほとんど無い」

「なぜそうなるんだ?」

「あくまで仮説だがね」

「うん」

「エヴァンゲリオン方式じゃないかと思うのだよ」

「エヴァンゲリオン方式とは?」

「他作品からの引用を主体に構築されており、意味ありげだが実は中身がない。しかし、中身があると思って深読みしすぎたファンが中身を満たしてしまう」

「それがエヴァンゲリオン?」

「たぶん、エヴァンゲリオンの初見で中身の無さまで見えてしまった者と、中身があると見えてしまった者達がいる」

「君は前者だね?」

「そうだ。エヴァファンでも、それが見えていた者もいる。実際に会ったことがある」

「でも大多数は後者なんだね?」

「そうなのだろう」

「で、それがヤマト2199とどう関係するんだい?」

「ヤマト2199も思わせぶりな引用を寄せ集めて構築されているが、中身は空虚だ」

「たとえて言えば、空洞惑星なのだね」

「そう。空洞惑星にヤマトを閉じ込めて撃沈しようとした。それがヤマト2199の本質ではないか。そんな気がする」

「つまり、方舟がスタートレックになってしまうのは、ヤマト2199が他作品からの引用で構築されてきた必然性の帰結なんだね?」

「おそらくはな」

「分かったぞ。他作品からの思わせぶりな引用で描かれてきたエリーサやスターシャには本当の意味での【心】が無いんだ」

「そうだ。だから、最終的に矛盾していく。エリーサは憎いヤマトに乗っても何も言わない。スターシャは死にかけた古代守から精を搾り取って妊娠した悪女に見えてしまう」

「相互に互換性のない作品の引用で作品を構築していくと、最終的に矛盾が拡大するわけだね」

「そうだ。でもそのことはヤマト2199を責めてもいたしかたのないこと。エヴァンゲリオン方式は、エヴァンゲリオンが産まれた時点で出現して支持されてしまったのだ。多数派の客がその方式を歓迎するなら、それを使用するのも立派なビジネス上の選択だろう」

「分かった。ビジネス的な成功は不可避の要請だから、実績ある演出手法を否定する意味は無いわけだね」

「そう。否定する意味は無い。中身が空洞であっても、それは過去に成功事例のある方法論なのだ」

オマケ §

「でも君個人は歓迎しないのだね?」

「個人的にはエヴァンゲリオンのTVシリーズの第1話を見た時からずっと肯定していない。エヴァンゲリオンのフォロワー作品は多いが、中身がスカスカなら肯定はできない。というか、見ていて退屈するから自分の娯楽にはならない。娯楽目的で、苦痛だったら見ないよってことだ」

「仕事目的だったら見るわけだね」

「仕事ならな」

オマケ2 §

「結局何が問題なんだい?」

「世間は古い映画を何も知らない人ばかりだ。世界大戦争も青島要塞爆撃命令も緯度0大作戦も知らない人ばかり。だから、見飽きた古いネタを新鮮に受け止めてしまう人がけっこう多い。おそらくそういうことだろう」

「分かった、『潜水艦イ-57降伏せず』を見ていると、浮上したまま突っ込んでいくUX-01は死を決意した最後の攻撃に見えてしまうわけだね」

「そうだ。ニコニコ笑った藪が藪から棒に出てくるようなシチュエーションじゃない」

「なんでそうなるの?」

「ヤマト2199の構成要素は文脈から切り離された【引用】が多いからだ。だから、【あれ?】【おや?】という違和感がけっこうあちこちにある」

「でも、元ネタを知らない人達は別に気にしないわけだね?」

「もっとも、元ネタは違うのかも知れないがね」

「たとえば?」

「Uボートでも浮上してジブラルタルを突っ切ったりするからな」

オマケIII §

「だから、第25話で後からフラーケンの出番を増やしたのはマイナス。あれはアホの所行にしか見えない。辛うじていい人のポジションにいたフラーケンは間抜けのカテゴリに落ちた」

「第7章版の第25話はもっと印象が良かったのに、という話だね」

「だから、ガルマンウルフとは比較にならんよ」

「文脈から切り離されているから、印象が悪くなるのだね」

「ヤマト2199は文脈から切り離された引用だらけだ」

「それは悪いこと?」

「悪くはない。そういうやり方も表現の1つだ。ただヤマト2199は使い方が上手くなかった。新しい文脈の中に落とし込むところまで貫徹はできていない」

「だから同族の最後の1人が死んだはずなのに、あとからぞろぞろ出てくるわけだね」

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