「またこの話題かよ」
「あのね。YAMATO2520の第1話を見た時、あまりにも面白くてまるでヤマトではないみたいだと思った」
「どこが?」
「女を巡ってチキンランしたり、凄く人間が生々しい。もともとヤマトは、みんな揃って水杯を飲んじゃうようなアニメで、全員が協調して動くのが普通。個々の人間の人間味はそこで飛んでしまう作品だった。その傾向は、続編になればなるほど強くなる。そこは、やや面白みに欠けるところだった」
「感情移入しにくいわけだね」
「ところが、YAMTO2520の第1話に関しては、凄く生々しくて楽しい。見事なものだ。映像も生き生きしている」
「もっと分かりやすく言えば?」
「青の6号とか、巌窟王に近い。映像技術的にはまだ稚拙なのだがね。根っ子には共通するものがある」
「共通するものとは?」
「どんな大きな仕掛けを用意しても、常に生々しい人間が主役で感情移入の余地があるってことだ」
「ヤマトに欠落しがちなのは、そこだってことだね」
「そうだ。2520でも第2話以降はどんどん希薄化していくのだがね」
「話はそれで終わり?」
「いいや。実は前田真宏さんという名前で1本の軸が通せると気付いたのだよ」
「どう関係するんだよ」
「青6も巌窟王も前田監督作品。そして、YAMATO2520の初期の段階では前田さんがそこにいたわけだ」
「なるほど」
第2のパンドラの箱もありかな? §
「YAMATO2520はマイナー過ぎてあまり火種になってなかったけどね。でもね、もしかしたら火種かも」
「なんで?」
「第1話と第3話ではまるで別物だからだ。第1話のノリを期待した人と、第3話のノリを期待した人では望ましいゴールがまるで違うだろう」
「悪魔のゴールの黒い影が見え隠れするわけだね」
「いや、それは違うから」