「面白いじゃないか」
「なんでこれを見ようと思ったの?」
「Zガンダムみたいなタイトルだったから」
「……」
「しかし、見始めたらヤクザ映画みたいだった。でも、途中からゾンビ映画になった」
「ゾンビ映画かよ」
「ゾンビ映画はいっぱい見たかったからまあいいんだけどね」
「それでどこが面白かった?」
「そこだ。この映画には2つの特徴がある」
「2つとは?」
「ヤクザの抗争とゾンビが存在する結果、基本的に三つどもえの戦いになる。どのタイミングでどう個々の勢力が物語に絡んでいるから予測しにくい。しかし、1つがゾンビなので分かりにくいことは無い」
「もう1つは?」
「伏線の貼り方が非常に上手い。島にはトラック、乗用車、バイクが持ちこまれるがその全てにきちんと見せ場と意味が存在する。また大音響の漁船には、きちんと意味があって、終盤に出番がある。何気ない序盤のシーンがことごとく意味を持ってくる」
「なるほど」
「それから、生き残る数人の顔ぶれが予測しにくい。けっこう途中で死んでいく仲間がいるが、誰が死ぬのか分かりにくい」
「へー」
「宇宙戦艦ヤマトが死に方をテーマにした作品であるなら、同じようなものだと言えるな。自分から望んで死んでいく人達もいるのだ」
「なるほど。不可避の死ではなく、自ら望んだ死もあるわけだね」
「そうすると、日常的に「死」と向き合うヤクザの抗争で始まることの意味も分かる」
「全体に意味があるわけだね」