「沖田艦の名前として、【英雄】は違和感があった」
「うん」
「でもね。実はヤマト2199で選択した【きりしま】はもっと違和感があった」
「それはおかしいよ。【英雄】は軍艦の命名規則からの逸脱が激しいけれど、【きりしま】は軍艦の名前としての利用実績があるわけだろう?」
「ガミラス艦相手に手も足も出ない旧式艦というイメージにはほど遠い」
「それで?」
「そこで考えた。どんな名前なら納得が行くのだろうか。そこで思い付いた名前が、霧島ならぬ敷島」
「敷島だけですか?」
「富士とか朝日でもいいかな。日進でもいいぞ」
「三笠ではないんですね?」
「三笠だと別のイメージが濃厚に付いちゃうからね」
「なるほど」
「しかし、そこで考えた。命名規則なんて時代や地域ごとにどんどん変化する。日本の過去の命名規則に必ず従うと思うのもおかいしい」
「未来だからね」
「そこで思い付いた。イギリス海軍のInvincible(無敵)とかIllustrious(〈人が〉傑出した,有名な)みたいな名前を付けるセンスからすれば、【英雄】が無理だとはあながち言い切れない」
「なるほど」
「あるいは同じ文字を持つ名前を並べる命名を行うとすれば、【雄クラス】というものを想定して、『1番艦【高雄】、2番艦【英雄】』的なネーミングを想定することもできるかもしれない」
「なんだか、英雄という名前に無理がなくなってきたぞ」
「あるいはH級戦艦というものがあり、そのうちに一隻に【HERO】という名前が付き、翻訳されて【英雄】というのもありかもしれない」
「【きりしま】よりも違和感は少ないね」
「そもそも、霧島は山の名前であり、戦艦の名前としては不適切。巡洋戦艦か重巡洋艦に付く名前」
「赤城、加賀を空母の名前と思うのと同じぐらい違和感があるわけだね」
「加賀は空母の名前じゃねえぞ! わかってんのかコラ!」
「無敵一航艦のイメージがありすぎて、誰の目にも空母の名前に見えるって」
「そういう意味でムラサメ級は名前としては迷子。本来ならこちらにこそ巡洋艦らしい名前を割り当てるべきだった」
「村雨は本来なら駆逐艦に付く名前だってことだね」
「そう。旧海軍の軍艦風の名前が付いていながら、実は命名システム全体が壊れているのがヤマト2199の特徴」
「ヤマト1974時代のように、名前があるのは雪風だけなら大きな矛盾はなかったけれど、なまじ細かく名前を付けると矛盾してしまったわけだね」
「そう。そして、そこから相対的に【英雄】が実はそれほど悪い名前ではないと分かってしまった」
オマケ §
「でも、最も正当な名前は225号なんだね?」
「アニメ本編で言ってる名前だからな」