2015年11月25日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 1619 count

豆腐小僧双六道中おやすみ本朝妖怪盛衰録 (怪books), 京極 夏彦, 角川書店(角川グループパブリッシング)

Written By: 川俣 晶連絡先

「こいつはクールだ」

「だから時を遡ったのだ。我ら概念が万物の中で唯一、因果律に逆らうことが出来るものであるぞ。果が因を生む、つまり【未来が過去を変える】のだ」

「えーと、なんで今頃?」

「この本、長らく放置してしまったのだが、残り僅かだったので、読んでしまおうと思って読んでしまった」

「感想は?」

「少し読むのが辛かったのだがね。結末はたいへんクールであった。そこは満足した」

もうちょっと §

「未来が過去を変えるってどういうこと?」

「うん。だからね。現代社会でよく起こっている出来事だよ。天下の大悪党ペテン師のスティーブ・ジョブズも今や子供がお手本にすべき聖人となった。未来は過去を変えられるのだよ。概念の世界においては」

「それは困ったことだね。真実はどこにあるんだ?」

「それが歴史を研究するってことだ。そこでは言葉は絶対的な力を失う……はずだ」

「はず?」

「言霊の力で、フィクションを【これが正しい歴史だ】と言い切って押し通すのも、主に国家史レベルでは常識的なやり方だからね」

「それは某国のこと?」

「日本もだよ」