「いや、びっくりした」
「というと?」
「まさか、映画メンフィス・ベルからヤマトに行くとは思わないじゃない?」
「行ったのか?」
「メンフィス・ベルというのは、実在のB-17の1機の名称だ。アメリカの戦時国債を買わせるための国威発揚に使用された」
「それで?」
「このB-17にはノーズアートが描かれている。WikiPediaから引用しよう」
ノーズアートは、当時流行したカレンダーのマスコットガールであったペティガールズで、機種右側は赤い水着、左側は青い水着が描かれていた。描画したのは、当時第91爆撃航空群にいたトニー・スターシャである。
「スターシャ! イスカンダルから来て描いたのか?」
「そんなわけあるか。メカニックだよ。しかも、トニーというぐらいだから男だ」
「なんてことだ」
「しかし、スターシャはスターシャ。すっかり気分はイスカンダル」
「実在のサーシャを見つけるようなものだね」
「スターシャまで実在するとは思っていなかった」
トニー・スターシャ §
「日本語版のWikiPediaには情報が無いが、英語版にはページがあった」
「なんて書いてあるんだ?」
「ノーズアートを描いたメカニックだったという話が大ざっぱに書いてあるだけだ」
「それで?」
「でも、綴りは分かった。Tony Starcerだ」
「イスカンダルのスターシャとは綴りが違うような気がするのだが」
「そうだね。たぶん綴りの上では別物だ」