「ちょっと咳き込んで体調が悪かったが映画館に行ってきた」
「なぜこの映画を見たの?」
「最近のライダー映画は皆勤賞なので」
「理由はそれだけ?」
「そう。かなりスカを引く覚悟はしてあえて見に行った」
「実際に見てどうだった?」
「ぜんぜん分からなかったねえ。この映画は結局何が言いたかったのか」
「誉めてる人はいるよ?」
「格好いい藤岡弘さんを見たい人は満足したのかもしれない」
「どこに問題があるの?」
「ストーリーの組み立てがまず昭和の子供番組。それからストーリーが何も語っていない。せっかく立花籐兵衛の孫娘が出ているのに、立花籐兵衛との関連性がほとんどなく、アレクサンダーのアイコンの入れ物ってぜんぜん何が言いたいのか分からない。しかも、死んで燃やされている1号がなぜか蘇るのも良く分からない。必死に胸を押さえる藤岡弘の演技はなんだったのか。ガキの言いなりになる本郷猛も何か変な感じだし、改造人間に悲哀的なものは感じられないし、アクションのキレは甘いし、バイクに乗ってもあまりスピード感が無いし、それから……」
「もういいよ。せめて何か1つ誉めてくれ」
「ノバショッカーの女幹部が怪人に変身しないでアクションしていたのは良かった。せっかくの色気を隠すことはないよね」
うがった見方をすれば §
「結局、うがった見方をすれば、この映画は【ライダー1号は既に死んでいるがベルトの力で動いている】と言っているのかも知れない」
「どの辺からそう思うの?」
「命に強くこだわり続ける本郷猛。客演は既に死んでいる仮面ライダーゴースト。地獄大使も既に死んでいた存在で、ことが終わると滅んで消えていく。燃やされても炎の中から蘇るライダー1号は、【動く死体である】と解釈するしかない。ベルトの力で動いている死体だ」
「まさか」
「結局、1号は仮面ライダーV3の序盤で死んでいる。いや、それ以前に死んでいたかもしれない。その後の1号は全て動く死体あるいは幻想に過ぎないってことだ」
「ゴーストと同じように?」
「そうだな」
その他 §
「結局、ヤマト2199でのささきいさおさんと同じことで、いくら元気でも老人を酷使してもいいことはない、という感想を持った」
「藤岡弘さんの【この年齢でこれは見事】は、最盛期と同じことを意味しないわけだね」