「新刊が出るぞ」
「これはどういう本なんだい?」
「UWPの入門書だ」
「お勧め?」
「買ってくれないと泣いちゃうぞ」
「どこが最も苦労した?」
「目次案書いて企画書通して執筆しているうちにSDKはバージョンアップして別物になるし、MSDNのドキュメントも別物になるし、最終的に出来上がった本は目次案を途中で全部刷新したが、お茶を濁したところもある」
「どこで濁したの?」
「顔認証かな。特別なカメラがないと試すことすらできない」
「じゃあイマイチなの?」
「そうでもないぞ。普通のカメラでオッケーなカメラAPI入門だって、バックグラウンドタスク入門だって載っている。音楽再生も動画再生もバッチリだ。バックグラウンドでの動画再生はほとんど意味は無いがバックグラウンドでの音楽再生は意味がある。それも説明してあるぞ」
「他には?」
「実際にストアにあるアプリのほぼ全ソースも付録に載っている」
「どのアプリ?」
「これだよ」
「これのどこがサンプルになるの?」
「これは、XAMLアニメーションを使ってGPUのパワーを活かしたアプリだ。GPUの力で画像を回転させたりサイズを変化させたりする。そして、回転処理が終わった後で画像が背景に移動するのはビット単位のビットマップ処理を行っている。バックグラウンドのビットマップは1枚で、そのビットマップにいちいち書き込んでいるのだ」
「XAMLを使ったGPU活用と、低レベルのビットマップ処理の両方が入っているわけだね」
「うむ。どっちも入っている」
「他に何か【これは】という項目は無いの?」
「付録に【アキラ君のUWP開発日記】というのを付けてな。架空のアキラ君の体験談形式で、始まりから順次どんな手順で開発をしていくかを説明してある」
「それは何のため?」
「【できた、ストアに提出できるぞ!】と思ったのに、いきなりサーティフィケーションキットを実行する羽目になって、思ったように進まないことがあるじゃないか。事前にそれを察知していれば焦らなくて済むからね。一連の流れを説明しておいた」
「マネタイズってなに?」
「金儲けの方法。アプリを無料にして広告で儲ける方式もあるし、無料体験版を提供してアプリ本体を優良にする手もある。あるいはアプリは無料だが特定の機能を使うのは有料というアプリ内課金も可能。いろいろなやり方を説明してある」
「僕のハローワールドでも金が稼げるの?」
「それは……さすがに無理かも。誰も使わないアプリに広告を貼っても収入にならないよ。誰かが使いたくなるようなアプリをまず作らないと。しかも先行するライバルにも勝つような……」