「図書館でドーリットル空襲秘録を見てきたが、アッという間にクリアになった」
「要点を教えてくれ」
- 1番機の目標は後楽園付近の東京工廠で早稲田中学を誤爆して中央線沿いに西進。豊田を経て南進して厚木を経由して海へ。杉並上空は飛んでいると思われるが世田谷上空は飛んでいない
- 2番機の目標は赤羽の陸軍造兵廠だが、鬼怒川火力発電所に投弾して目標を通り抜けて荒川区に着弾。十条付近で南(やや西より)に方向転換し、中野付近を経由して、進路を大きく西に膨らませながら最終的に東に戻って横浜西方から海に抜けた
- 低空で飛行したらしくかなり目撃されている
「烏山上空を飛んだB-25とは、この進路図から見て1番機(機体シリアル40-2344ドーリットル機)ではなく、2番機(37th Bomb Squadron所属・機体シリアル40-2292パイロットLt. Travis Hoover)と思われる」
「なるほど。それで君の知りたいことは分かったのかい」
「分かった。本来、中国大陸に飛び抜けるなら北に飛ぶのだろうと思ったら南に向かっていておかしいと思ったのが調べようと思った発端だ。南に向かって飛んだことが確認できたので、問題は解消だ。そして、もし実在の機体ならば具体的にどんな機体かも知りたかったが、それも分かった。2番機だ。しかも、機体シリアルまで分かってしまった」
「良かったね」
しかし §
「良かったでは済まなかったのだよ」
「というと?」
「国辱ものの書き込みが読者によって本になされていた」
「どんな内容?」
「それは語らないよ。要するに話題になればなるほど喜ぶだけだろうからね。しかし、本への書き込みを見て右翼というものがますます嫌いになった」
「じゃあ左翼は?」
「もともと嫌いだ」
「じゃあ、君の意見をひと言だけ言ってくれ」
「図書館の本はみんなの共有財産なんだから、自分の都合で書き込む阿呆は万死に値する。公私の区別がなっとらん」
「政治とも右翼とも左翼とも関係なかった……」
オマケ §
「そうそう。昨夜の机上調査で確認したこと。ドーリットル空襲に参加したB-25はB-25Bだった。B-25Bのプラモデルなどの模型はあまり多くない。入手はちょっと難しいかもしれない。ドーリットル機のデカール入りだともっと難しい。韓国のアカデミーという会社がドーリットル機のB-25Bを1/48でプラモデル化しているが、他にはあまり例が無いようだ」
「君は作りたいと思う?」
「1/144ぐらいなら作りたい。48ではちょっと大きい」
「なんで作りたいの?」
「だって、杉並や世田谷の上空を飛んだB-25の姿を模型であっても見てみたいじゃないか」