Subject: さらば宇宙戦艦ヤマトのラスト80カットはどれか
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20160601083355
名前: くじら軍曹
本文:
「ちがーう!断じて違うっ!」って所のカットからかな?
安彦さんの古代は頭身が違うので分かりやすいかと…
古代の鼻の部分を湖川さんがいちいち直したそうで、
雪がよみがえって正面から横向きに動画する部分は湖川さんが全面的に直してるみたいです。
最後のヤマトの奥に進んでいく後ろ向きのヤマトが安彦さんが描いたヤマトだそうです。
名前: やや矢野屋
本文:
こんばんは。
安彦さんが描かれた「さらば」の原画は、BD特典絵コンテだとS92-C1からS96-C2までの古代ではないかと思います。
(「違う!断じて違う!」から「これが僕達の結婚式だ」の辺りまで、S94-C4のみ湖川絵)
正面向きの顔に安彦さん特有の鼻梁線がありますし、陰影の付け方が他のシーンとは異なっています。
また、急に古代の等身が低くなり、身体の描き方が粗くなります。素人考えですが、おそらく「作画監督のリライト」を前提にしていたのではないでしょうか。
(斜めや横向きの?)鼻のラインだけは、湖川さんが修正を入れたみたいです。
女性キャラは湖川さんが原画を描かれているようです。
こちらのインタビューで、その辺りの事情に触れています。
http://www.style.fm/as/01_talk/kogawa03.shtml
S94-C4のモブキャラクターにも安彦さんの絵の特徴が強く出ていますね。
S70-C22からの湖川色豊かな群衆絵と見比べてみると面白いです。
「くじら軍曹さん、やや矢野屋さん、ありがとう」
「貴重な証言が存在するのかい?」
「抜粋して引用してみよう」
湖川 印象ではそうだったんですよ。それから、西崎さんが、安彦(良和)さんの画が好きだったので、「安彦さんの画は直さないでちょうだい」とか言われたんです。だけど、あの人が描くキャラクターは鼻がちっこいんで、鼻だけ直しましたよ。
一同 (笑)。
小黒 本当に鼻だけ、直したんですね。プロポーションは原画のままなんですね。安彦さんがやられたところは、プロポーションも違いますよね。
湖川 そう、違います。違いますけど、それはいいんです。鼻だけがこだわりなので。
小黒 (笑)。安彦さんは映画のラスト部分の原画を描いたんですよね。
湖川 そうです。あの「パースのないヤマト」ね。
小黒 じゃあ、安彦さんのパートだけ、湖川さんの世界じゃない?
湖川 はい、全然違います。だけど、鼻だけ俺。
小黒 ああ!(笑)
―― 最後のテレサが飛んでいくところも、安彦さんなんですか。
湖川 いや、テレサは安彦さんじゃないと思いますよ。テレサは、確か俺が原画をやったんじゃなかったかなあ。
小黒 そうなんですか。テレサは作監修正を入れたんじゃないですか。
湖川 自分で描いたような気がするけど。『さらば』では結構原画もやったんですよ。斉藤(始)が死ぬところとか。あれは自分の原画ですからね。
小黒 そうなんですか。
湖川 最後のシーンで、(乗組員たちが現れて)みんな、ボヤーンってブラシがかかってるようなところも、原画をやったような気がするんですよね。
小黒 じゃあ、その前の部分が安彦さんなんですね。
湖川 そうなんでしょうね。本当は(最後に飛んでいく)ヤマトを直したかったですけどね。時間がないんでやめました。直したら、グワアアと火を吹くヤマトになっていたと思います。
小黒 そこは安彦さんの原画ですか。
湖川 安彦さんのままですね。拡大、縮小コピーで動かしているカットもあるはずです。……いや、仕方がないんです。パースを知らない人に、そういうカットをやれと言ったってできないんですよ。だって、当時はパースなんて言っている人はほとんどいなかったんだから。東映にはゼロックスという機械があって、それは(動画を)どこまでも縮小できて、拡大もできるというものだったんです。それを地球の戦艦や巡洋艦が動くカットに使おうという話が出て、それを聞いた時に「それは便利かもしれないけども、あり得ないですよ」と言ったんです。
小黒 つまり、東映の人は、その1枚の動画の縮小拡大で、複雑なメカが手前に飛んでくる動きを作ろうとしたんですね。だけど、それは同じ形のものが小さくなるだけであって、飛んでる事にならないっていう事ですね。
湖川 そういう事です。で、「パースを考えれば、それはあり得ない」という話をしたんですけど、誰も分かんなかったです。
「実際にブルーレイを見て、プロポーションが違っていた?」
「違ってたぞ。かなり違和感があった」
「言われるまで違和感はなかったの?」
「そのあたりは見てなかったから」
「じゃあパースってなに? パースがないヤマトってなに?」
「うん。これは理解できる。というか、昔から言ってる苦情と同じことだ」
「というと?」
「3DCGは正確な線を引くためのものじゃない。線を歪めるためにあるんだ」
「さらば宇宙戦艦ヤマトは3DCGじゃあらへんがな」
「でも、この場の話では同じことを言っている」
「というと?」
「レンズの効果によって、視界は歪むんだ。しかも、レンズの画角によって絵は全く変わってしまう」
「つまり、拡大縮小だけでは立体世界の表現にならないわけだね」
「そうだ。だから3DCGはいかにして絵を歪めるのかが勝負。しかし、アニメも同じこと。湖川さんが言っているパースとは、おそらくそのこと。単に拡大縮小するだけではいかんよ、というのが主旨だろう」
それはさておき §
「実は、中野のLAST EXILE展の時に小林誠さんの説明にびっくりしたことがある。自分にも分かる言葉で喋ってくれた」
「共通する問題意識があったわけだね」
「そう。でも、これではっきりした。要するに湖川さんもおそらく同じような問題意識を共有している」
「なんてこった」
「それゆえに、小林湖川タッグの復活篇に心引かれるわけだな」
「小林さんは主にどのあたりで分かる言葉で喋ってくれたの?」
「ライティング」
「湖川さんは?」
「カメラだな」
「で君は?」
「ライトとカメラで勝負するなんちゃって素人3D屋だ」
「本当に勝負してるの?」
「実はしてない」
「なんで?」
「背景の物体は無限の広さがあるわけではないので、思い通りの位置と角度にカメラを持って行くと背景が切れちゃうんだよ」
「ぎゃふん」
「最近はPoserでやってるが、フィギュアの顔を照らす必要がある関係上、ライティングも単調になってる」
「ダメじゃん」
「あとはプロに任せる」
オマケ §
「パースってなに?」
「バース星?」
「ちがーう」
「バース星を検索して阪神のバースが出てきた時、どんな顔をすれば良いか分からない」
「それは関係ないから」
「交響組曲の2曲目」
「それはTHE BIRTH」