2016年06月13日
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宇宙共感ヤマト・共感という大問題

Written By: トーノZERO連絡先

「起承承承はヤオイ(山無し意味無し落ち無し)と同じであり、オタク文化と1970年代前後の少女漫画文化は構造的に同じと見なしうる、という認識に取りあえず到達した」

「共感がポイントだね」

「そうだ。起承承承もヤオイ(山無し意味無し落ち無し)も、共感があれば受容可能になる。逆に共感できない人間は疎外される」

「オタクの同調圧力も共感が前提なのだね?」

「そう。共感するためには同じものを見て同じ感情を抱く必要がある」

「ニコニコの、あのうざい感想字幕も同じだね?」

「そう。あれは同じことを感じていることを確認しつつアニメを見るためには必須のもの。けして、【オレはアニメが見たいんだ。くだらない感想字幕は消せ】とは言わない」

「で、何が問題なのだい?」

「共感への過度の依存が問題だという場所まで来たが、ここでもう1つ別の角度からの意見を見た」

https://twitter.com/GoITO/status/740686016734978049より

「人としての正義を求める気持ち」の、少なくとも一部は他者への共感能力が支えているだろう。ここはかなり難しい議論を伴われるが、しかし「共感」するという心の状態を経験していないひとには、そもそも議論が可能なのかという、さらなる難問がある。感情のありようの個人差は思いのほか大きい。

「こちらは共感の不足が問題になっているね」

「そうだ。方や共感に依存し、方や共感能力の不足が問題になる」

「それはどういうことだい?」

「趣味的に共感に依存しつつ、実際には全く異質なる他者への共感能力を欠いている。それがオタクの心理を表しているような気もする」

「で、その話はどこにいくんだい?」

「そうだ。そこだ」

「どこどこ」

「さらば宇宙戦艦ヤマトという映画は、実は【共感】が軸にある。救援メッセージを知ったヤマト乗組員と藤堂は共感してしまった。しかし、参謀は共感しなかった。テレサに直接対面した後は、テレサと共感して古代も真田もテレサ的な価値観の実践者となった。真田は、テレサ的な自己犠牲の発露として死んだ」

「真田はテレサと対面しているわけだね」

「一緒に死んだ斉藤もな」

「ひ~」

「でもよく考えると、異質な他者であるテレサと本当に共感などできるのだろうか」

「えっ?」

「もっと分かりやすく言い直そう。テレサが、古代や真田が共感可能な存在として待っているのは都合が良すぎやしないだろうか」

「その心は?」

「テレサとは、本来古代や真田が持っていたはずの心の象徴ではないか。そして、テレザートへの航海とは、本音から引き離されてしまった古代らが本音を取り戻す航海だ」

「では、テレザートで待ち構える彗星帝国軍とは?」

「古代や真田を本音から引き離した冷酷な現実そのものだよ」

「なんか、福井さんみたいなことを言ってないか?」

「かもしれんが、こちらはあくまで起承承承問題からスタートしてそこに至ったので、結果論だ」

「それで?」

「うん。だからね。テレサは古代らの本音。彗星帝国は冷酷な現実の象徴。現実が本音を押し流している」

「じゃあさ。防衛会議はなんだよ」

「象徴ではない本物の冷酷な現実」

「白色彗星に負ける地球艦隊とアンドロメダは?」

「実は、アンドロメダから来た白色彗星と新造戦艦アンドロメダはイコールなんだ。だから、この戦いの本当の意味は、【古代の恐怖感を、恐怖感の源泉である冷酷な現実が打ち払うことに失敗する】というものなんだ」

「古代から逃げ道を奪うわけだね」

「そう。この先はもう現実の脅威は存在しない。ひたすら、冷酷な現実の象徴と戦うしかない。その中で多くの者が死を選ぶ。命だけが冷酷な現実の象徴と本当の意味で戦える武器だからだ」

「なんてことだ」

「最後に古代に語りかける沖田は、古代の理想論の具現化だろう。だから本当の沖田ではない」

「違う、断じて違うと古代が言うズォーダーは?」

「あれこそが冷酷な現実の具現化。古代は、ズォーダーに違うとは言うが、具体的に何をして良いか分からない。そこで沖田に相談するが、沖田の語りは古代の本音に過ぎない。冷酷な現実に引き離された本音は、沖田の幻を通して古代に戻ってくる。その結果として、本音の象徴たるテレサが再登場し【合格】を告げて一緒に飛んでいく。これで冷酷な現実は打破できる。その理由は反物質のテレサが同行したからではなく、古代が本音を取り戻したからだ」

「じゃあ、土方ってなんだ?」

「あれは古代に迫る冷酷な現実の象徴」

「えっ?」

「土方がいると、古代は本音を取り戻せない。テレサに会うのは土方のいないテレザートだし、本音にいたるのは土方が死んだあとだ」

「デスラーは?」

「冷酷な現実に風穴を開けられる狂気」

「でもさ。本当に死ぬことでしか戦えないの?」

なぜ雪は死ぬのか §

「そうすると、なぜ雪は死ぬのか?」

「雪はミルが撃つ。ミルは彗星帝国人で、彗星帝国人は冷酷な現実の象徴」

「なんてこった」

「冷酷な現実に対して雪は古代の理想を体現してその結果死ぬ」

「死んじゃダメじゃん」

「だが、冷酷な現実に立ち向かう唯一の武器が命なんだ」

「ひ~」

「そして、最後にテレサの【よくできました】を経ると雪は目を開いて古代との結婚式を迎えられる」

「なぜ死んだはずの雪が目を開くの?」

「雪が死んだ理由が冷酷な現実と戦うためだとすると、古代はテレサの【よくできました】の時点で既に勝っているんだ。試合が終了したら死者も起き上がる」

「試合終了で死者が起き上がるってどんな銃撃ごっこゲームだよ」

「それだけではない」

「えっ?」

「そのタイミングでゲームから退場していた全ての者達が第1艦橋というフィールドに戻ってくるのだよ」

「オレンジの人か!」

共感の問題 §

「結局、さらば宇宙戦艦ヤマトという映画は共感できる、できないによって敵と味方が分けられる映画だった。唯一デスラーだけは狂気によって共感可能と共感不可能の両方の属性を持って境界線上にいた」

「なるほど」

「そもそもこの映画は共感できた観客とできなかった観客の評価の落差が激しい。最後に消えていくヤマトを泣きながら見ていた観客と、白けた目で見ていた観客が確かに存在する」

「結局、共感がキーワードか」

「うん。だからこの映画は極めてメンタルな存在なんだ。理屈では語りきれないものが残る」

「結局、地球の危機でもテレサの危機でもなく、防衛会議への反発から旅に出るわけだね。理屈はない。とてもメンタルだ」

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