「【星巡るの方舟の個人的な評価】という古い原稿をボツにしたが……」
「どんな原稿だい?」
「要するに星巡るの方舟をどのように評価したのかをまとめて説明したもので、まあどこの否定的な要素があるのか、楽しいじゃないか、という人に分かるように詳細に説明したものだ」
「しかし、なぜボツにしたの?」
「今出すと、2202批判と受け取られかねないからね」
「確実に設定は2202に引き継がれるわけだね」
「ファンを迷子にしないためには、そうするしかない」
「でも、2202独自設定ではない2199の設定を批判しても、結果的に2202批判に見えてしまうシーンはあり得るわけだね」
「そういうことだ。それは本来の意図では無いので、ボツにしておく」
「しかし、そういう評価の説明は重要なのだろうか?」
「重要だよ。結局、ゴの付く流行りの映画の教訓は【しばしば突っ込みどころは感動ポイント】という状況。たくさんの感動を見出した観客は【突っ込みどころだらけ】という批判を理解できずに、無理解なアンチの非道な発言としか解釈できない。きちんとした説明はやはりあった方が良い」
「ゴの付く流行りの映画ってなんだろう。あ、わかった。ゴリライモだ」
「ゴリライモは映画じゃあらへんがな」
「ゴリアテ」
「違うって」
「じゃあさ。なぜ説明しないの?」
「説明することの効能がどの程度あるのかという問題もあるからな」
「たとえば?」
「うん。たとえば流行りのポケモンGO。規制論と反発があるが、実は綺麗サッパリすれ違って話が噛み合っていない」
「というと?」
「規制論は、主に【歩きスマホは危ないからやめろ】という観点から行われるが、反発は【ポケモンGOは新しい文化の萌芽だから潰すべきではない】という観点で行われる。結局、規制論の論点は昔からある【歩きスマホ】の根絶にあって、ポケモンGOが新しいか古いかなんてことは関係ない。むしろ、ポケモンGOをやっていなくても、歩きスマホは危険だからやめさせたい。本人だけでなく近くにいる人も危険だからね。でも、反発はあくまでポケモンGOの価値を強調してばかりだ」
「ちなみに、君はポケモンGOの規制に賛成?」
「賛成だ。あれは社会インフラのタダ乗りだ。社会インフラは何か目的があって設置されているが、それと無関係にそれを利用する行為は社会的に不適切だ。まあ、目的外利用はある程度許容の範疇と言えるが、本来の目的を阻害するほどの目的外利用は規制されて当然だろう。新しい文化を殺すな、と言うならその施設に金を出して利用目的にポケモンGOを入れるべきだろう」
「集客にポケモンGOを利用しているケースもあるようだけど?」
「ポケモンGOプレイヤーを集めてそれで儲かるならやっても良いと思うが、本当に儲かるのかはちょっと分からないなあ。お金を落としてくれるプレイヤーが集まるかは未知数だ」
「もしかして、君はポケモンGOの価値が分からないロートルなのかい?」
「とんでもない。はるか前にポケモンGO的なシステムは上手く行かないから却下しているぐらいで、ポケモンGOもIngressも無い頃からゲームシステムは検討していた」
「ホントかよ」
「うん。だからね、却下した理由そのものがポケモンGOへの批判として出ている場合があって、やっぱりそうだよなと納得した」
「君は先走りすぎなんだよ」
「話を戻そう」
「それで、やはり説明はあった方が良いが、それはストレートに受容されるとは限らないって話だね」
「まあ、そういうことだ」
「そんな事例もヤマト関係で君にもあったねえ」
「そうそう。ヤマト2199はもういいです、と何回言ってもヤマト2199の話題ばかりいろいろな人から来る時代もあったしね」
「結局、完結編から一気に2199に飛んだ人と、その間にいろいろあった人では感じ方が違うわけだね」
「こっちも独自の宇宙戦艦デザイン論、表現論を確立してガレージキットまで付くってワンフェスで売った経験があるからね。感じ方は違うだろう」
「それで、復活篇は全く問題がなかったのだね」
「そう。そこで油断した。まさか劣化することは無いだろうと思ったら2199は……」
「まあまあ、それはもう終わった話ということで」
「でもさあ。事前にサイトに掲載されていた玉盛イラストはけっこう良かったんだぜ。あれが映像化されたらさぞ素晴らしいと思いきや……」
「終わったことは蒸し返すな」
「分かった分かった。それじゃこの話はおしまいとしよう」