「シン・ゴジラというのは、要するにゴジラを殺せる便利な毒薬を飲ませて倒しました、という話なのだが、結局見せ場はゴジラの足を止めるためにビルを壊して電車を爆弾としてぶつけた話であって、便利な毒薬を開発するための努力がほとんど存在しないし、製造プロセスも描かれていない。その分かりにくい部分が108あるシン・ゴジラの問題の1つなのだがね」
「それで?」
「実は、ヤマト2199の同じ問題のリフレインに過ぎないと気づいてね。ちょっと感慨が深かった」
「どんな問題だい?」
「七色星団だ」
「七色星団のどこに問題があるんだい?」
「ヤマト1974の七色星団は、ドリルミサイルが決め手になる。ヤマトの中に入り込んでいくドリルミサイルはパッと見て分かりやすい。波動砲が使えないし、ヤマトの内部で爆発すれば大惨事ということも想像しやすい」
「それで?」
「ところがヤマト2199になるとクライマックスが波動防壁の修理になるのだが、これがビジュアルとして分かりにくい」
「人が集まって何かしているとしか見えない修理シーンは分かりにくいのだね」
「それもあるし、修理が完了しても、単に防壁が張れました、ということにしかならず、ビジュアルにインパクトがない」
「逆転したドリルミサイルで敵が全滅だとインパクトがあるわけだね」
「結局、理屈の整合性を優先するあまり、分かり易さを損なっている作品が最近は多い気がする」
「見ていて燃えないわけだね」
「そう。画面を見ていても、誰かの問題であって自分の問題ではなくなっている」
「ヤマト1974だと頑張れ真田という気になるが、ヤマト2199だと何を勘張れば良いか分かりにくいってことだね」
「目の前に差し迫ったピンチがいろいろあるのに、黙々と修理をしているだけの真田には感情移入がやりにくかった可能性がある」
「新見に人気が出るわけだね」