「女性ヤマトファン層から見ると古代くんが一番人気らしいぞ」
「それで?」
「でも、ヤマト2199は沖田またはヤマトそのものを主人公と解釈して作られている」
「だから男の子向きという解釈なのだね」
「でも、本当にそうだろうか」
「は?」
「古代を主人公としないヤマトは単純に男の子向きで、女の子向きでは無いのだろうか」
「女の子向きではないよね」
「そこは確かにそうだが、では男の子向きなのだろうか」
「どういうこと?」
「だからさ。沖田と古代の関係を自分と父親の関係になぞらえて、大人になってみると親爺もずいぶんいい加減だったと分かって、地球に向かってサヨナラを言うぞと言いながら変な方向に叫んでいる沖田も分かるような気持ちになった男性ファンは、はたしてヤマト2199的な世界観で満足したのだろうか……ということだよ」
「そうか。実はヤマト2199は女性ファンのみならず、男性ファンも満足させていない可能性があるわけだね」
「そうだ。森雪のフィギュアばかり発売しやがって、という批判の背景には【なぜ古代君を出さない】という気持ちの他に、【フィギュアばかり無限に集めても意味が無い。本当に欲しいものはそれではないんだ】という気持ちもあるような気がする」
「年齢層が高めのヤマトファンは、今更フィギュア集めでもないってことだね」
「そりゃ1つや2つならともかくさ。たくさん集めると置き場所でも困る。自室の展示ケースに森雪しかいない、という状況はおそらく大多数のファンには許容できないレベル」
「ヤマトも三段空母も置きたいわけだね」
「人によってはアルカディア号かもしれないし、999かもしれない」
「ガンダムという可能性も」
「マクロスもな」
「あるいは、貴重な古い資料とか……」
「そうそう。量産品のフィギュアなんかよりも、今となっては入手困難な貴重品こそコレクションしたいものだろう」
オマケ §
「武器、どこにあるというのです」
「お前にはまだ命があるじゃないか」
「ところで沖田さん」
「なんだね」
「フェアウェルパーティーの時、地球とは関係ない方向にサヨナラと言いましたよね」
「ギクッ」
「そんないい加減な沖田艦長のアドバイスはとても実践できません」
「あ、あれは酔っていただけで」
「今も既に死んでいます」
「いやいや、本当は脳死に至っていなくてな」
「島、コースターンだ。地球に帰るぞ」