「なぜこれを見たの?」
「14日はTOHOシネマズ割り引きだから」
「それだけ?」
「あとね。もう1日1回しか上映してなかったけど、時間が手頃だったから」
「それだけかい」
「見る前は、あまりよい評判を聞いていなかったのだがね。女の子主役だからまあいいかと思って見た」
「結果はどうだった?」
「凄く良かった。面白い良い映画。事前の印象がひっくり返った。見て良かった。ただし……」
「但し書きが付くの?」
「うん」
「それはなに?」
「ハードルがちょっとだけ高い。インサイドヘッドのハードルの高さと似ているがね」
「その僅かな高さで振り落とされる観客も多いだろう、という話だね」
「そうだ。見ても分からなかった人はおそらく少なくないだろう」
「では何がハードルなんだい?」
「見えるものが真実ではないことだよ」
「えー」
「つまりだな。何が夢で何が映画の中の真実なのか」
「それを区別できないとダメなのだね」
「いや、それでも足りない。実は両者を完全に区別できないんだよ、この映画は」
「まさか」
「その曖昧さを受容できるかどうかで決まる部分もあるだろう」
「具体的にどの辺が夢?」
「巨人の国もイギリス王室も実は全部夢。子供が見た夢。だから、王室の中身が凄く子供っぽい」
「本物の王室なら、いきなり窓から来た子供とお食事したり、軍隊をいきなり派遣してくれたりはしないわけだね」
「BFGの王宮でのお食事も、子供が考えた面白い会食そのもの。BFGがコーヒーを噴き出してしまうのも子供のセンス」
「そこがポイントなのだね」
「そう。強い私、女王様と交渉できる私、王室の私も子供の夢の世界の話であろう。無人島に悪い巨人を島流しという結末もそう。そんな結末でハッピーエンドとは言えないが、子供の考えることだから」
「他に何かポイントは?」
「スピルバーグ監督で音楽 ジョン・ウィリアムズだからねえ。少しセンスが爺さんよりという気もするが、まあそれで良いと思うよ」
「音楽良かった?」
「良かったね」
「他に何か気づいたことは?」
「持ち味は、ハウルの動く城に近い」
「女性主人公が、普通では無い誰かの住処に行くところや、結局王宮に行く成り行きや、イギリスといったあたりの状況が似ているわけだね」
「親不在の女性主人公というのも似ている」
「なるほど」
「進撃の巨人の影響はあるのか無いのか知らんがね」
オマケ §
「実はハドソン川の奇跡を見ようかと最初は思っていた」
「なぜ?」
「飛行機出てくるから」
「でも、時間の都合でBFG見たのだね?」
「うん」
「飛行機は諦めたの?」
「実は英軍のヘリの編隊が飛んでいたので、納得した」
「えー」
「イギリス軍大活躍だよこの映画」