「新刊です」
「C#の入門書なら掃いて捨てるほどあるのに、また新しい本を出す理由はなんだい?」
「良い質問だ。たとえば、これまで自分が書いた入門書は【それではVisual Studioで実際にやってみましょう】という内容であった。しかし、今回は【C# Pad】を前提にした」
「C# Padを前提にすると何が違うの?」
「Visual Studioだと、Windowsが前提になる」
「今はVisual Studio for Macとかあるじゃん」
「ちちち。その反論は大きなミステーク」
「Visual Studio for Macは、しょせんXamarin Studioだってこと?」
「違う違う」
「じゃあなんだよ」
「キーワードはMacにあらず。スマホ、タブレット」
「どういう意味?」
「つまりだね。C# PadはただのWebサイトだから、Webブラウザがあれば環境は問わない。そういう前提」
「分かった。MacユーザーなんてWindowsユーザー以下の人数しかいない弱小勢力に過ぎないから配慮したって読者に響かないわけだね」
「そう。話題になるだけで、実際の読者層は多くない。潜在的な読者が圧倒的に今持っているのはスマホ。スマホで取りあえず入門可能という特徴を持たせることで、より幅広い読者層に届けるのが目的だ」
「ちょっと待てよ。ってことは、LinuxだろうとMac OSだろうと、Webブラウザが動いていれば関係ないって話にならないかい?」
「そうだよ。LinuxユーザーだろうとMac OSユーザーだろうと、今回は潜在的なお客さまだ」
「Mac OSユーザーがC#を知りたいと思うかな。Appleの開発言語はC#じゃないんだろう?」
「MacでUnityならC#の知識とされるかもしれない」
「なるほど……。それじゃ、これはC#に興味のある全ての人に開かれた書籍ということだね」
「あとは、C# Padのサイトが閉鎖されないことを祈るのみ」
「閉鎖されたらどうする?」
「Roslynで動いていると思うので、類似サイトを自分で作成するだけだ」
オマケ §
「もっとも、残念ながらC# Padは一部機能が制約されているので、ほとんどの機能を試すことができるが、若干取りこぼしがある」
「たとえば、どんな機能?」
「たとえば、ファイル入出力やリフレクション」
「そうか。もし、サーバのファイルの書き換えができたらサーバを潰せるよね。さすがに、それはまずいか」
「リフレクションもサーバ側ソフトの構成を調査可能になってしまうので制約は妥当だろう」
「それでどうするんだよ」
「そこは、最後に熱心な読者だけを対象にした項目でまとめて説明した。Visual Studio前提になるがね。でも、Windowsパソコンを借りるのは簡単だし、無償版のVisual Studioもあるから、無茶なハードルではないと思うよ」
「そこまで行くのは熱心な読者だけで良いわけだね」
「そう。だいたいC#とはこんなものと納得したいだけの読者なら、スマホだけで終わりにして良い。何もかも知りたい貪欲な読者だけ、もうちょっと他の手段も必要とされる」