2017年02月03日
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どこまでが自分のヤマトかという問題

Written By: トーノZERO連絡先

「21世紀ヤマトで、自分のヤマトだと思えるのはどこまでか、という問題がある」

「その意味は?」

「復活篇は自分のヤマトだと感じられる。でも、ヤマト2199は完全に他人のヤマトだ。単にヤマトというラベルが付いているだけで、心が動かない」

「ふむふむ」

「問題は。境界線がどこにあるのか」

「西崎さんがいた復活篇までが君のヤマト?」

「そう思ったが、違うようだ。実は最も劇場で見た回数が多いのはSBヤマトだからだ」

「SBヤマトまではOK?」

「かもしれない」

「何が違うんだろう? 最初に違和感があったのは同じだろう?」

「そうだ。森雪の目から始まるSBヤマト。重さのない雪風の動きで始まるヤマト2199。どちらも違和感で始まったのは同じ」

「じゃあどう違うんだ?」

「SBヤマトはいきなりヤマトのテーマが鳴って地球艦隊ボロ負けとなって、違うのにヤマト気分に浸らされた。ところが、ヤマト2199第1話は、ヤマト気分が来るのはBパートの遊星爆弾のあたりになる。ヤマト1974そっくりに着弾する遊星爆弾を見てやっとヤマトっぽいと思えてきた感じだ」

「素早さが違うわけだね」

「よく考えるとそれだけではない」

「というと?」

「SBヤマトは冥王星海戦が終わると薄汚れた男からスタートするのだ。ところが、ヤマト2199はどこも薄汚れていない綺麗事の世界が描かれてしまう」

「ヤマト1974だと地下都市の上層部は廃墟だね」

「そう」

「でも、佐渡先生はカストリ酒と言ったよ」

「言っただけで、良い酒を会ったばかりの若者に飲ませようとした。貴重品扱いされていない」

「まるで悲壮感に差があるわけだね」

「暗い地下で耐えている感じに落差があるわけだ」

「なるほど……」

「それに、もう1つ決定的な違いがあった」

「それはなんだい?」

「SBヤマトヤマトは、古代という人物の解釈を変えてはいるが、古代を描くことからは逃げなかった。しかし、ヤマト2199は古代を描くことから逃げて、沖田を主人公扱いしてしまった。だから、新キャラがいても印象が違う。SBヤマトの安藤は古代と個人的に関係がある非常に印象深いキャラクターだが、ヤマト2199の新キャラは単に部下が増えただけで一人一人があまり沖田と絡んでこない」

「つまり、木村拓哉さんの演技がどうかという問題の他に、そもそも演技させてもらえなかったヤマト2199の古代の問題もあるわけだね」

「そうだ。結局、木村拓哉=古代は良いのか悪いのかは受け手それぞれが自分で判断することだが、おいらはOKだと思った。これはこれでありだ」

「でも、ヤマト2199の古代は肯定できなかったわけだね?」

「肯定できなかったのではなく、そもそも判断する段階まで行けなかったのだ。結局、古代の解釈が事実上無かったわけだからな。無いものは判断できない」

「本当ならガミラス兵を殺しに行って自殺を止めるような話が欲しかったわけだね」

「あれを【矛盾している】として切り捨ててしまった時点で、自分にとってのヤマトらしさが作品から消えてしまったのかもしれないなあ」

「SBヤマトにもないよ」

「映画だと短いから入らないだろう。それはそれでいい。それよりも仲間は絶対に見捨てないと言った古代が安藤を見捨ててしまう矛盾した展開があるからSBヤマトは高評価だ」

オマケ §

「結局、フェアウェルパーティーにしても、みんな笑いながら入るが泣きながら出てくるのが良かったわけで、そのあたりが2199ではごっそり欠けている」

「SBヤマトにも無いよ」

「通信した人の気持ちの描写が違うので、それでも印象に差が出る」

「結局、君のいる場所と同じ場所に立っているのがSBヤマトで、立っていないのが2199ってことだね」

「映画マニアは映画の基準で映画を見る。テレビアニメではない。そういうことだろうな」

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