「前倒しして、この感想は通常手順の前夜に公開しよう」
「頼むよ」
2月25日嚆矢編公開初日 §
「さて、嚆矢編の公開初日になるわけだが、先行上映会で既に見てしまった君にはビックリすることは何も無い日だったのかい?」
「実は全く予測もしない方向から違うことが起こってかなり凄いことになった」
「では現在の気持ちを要約してくれ」
「ありがとう、羽原さん。私はあなたの中に本当の勇気とヤマト愛を見せて頂きました。あなたのおかげで人々は目覚め、より美しいヤマトとアニメのために働き出すでしょう。私はこの日を待っていたのです。さあ私も一緒に参りましょう、ヤマト沼に」
入院と決まらない予定 §
「24日まで入院していて、予定通りに退院できない可能性もあったので、25日の予定は全てオープンであった」
「なぜ、そういう際どいスケジュールなの?」
「先行上映会に当たらないことを優先してスケジュールしたので」
「で、退院できたのだね?」
「そうだ。そこで、そのあとで席を取ろうとしたらもう舞台挨拶も初回上映も無理だから、自分に見られる最速の座席を予約してお茶を濁した」
「で、見た感想は?」
「実はオープニングが付くのではないかと思って見たのだが、そういうことはなかった」
「オープニングはどこに消えた」
「BD等の特典に行ってしまったらしいぞ」
「なんてことだ」
「本編は、旧作準拠度の高いタイミングや台詞、BGM等がけっこう多くてな。楽しかったよ。編集と演出の技とマニアックな心があった」
「アンドロメダはどうなんだ?」
「メカもストーリーも人物の心理描写もちょっとイマイチでスカッとしないがね。まあ、アニメの平均水準はそんなものと思えば腹も立たない。集団作業のアニメで平均水準を超えるのは非常に難しいからね」
「ふーん。それで見た後は?」
「実はUMAI機関長から誘いがあったが時間が合わないから断った経緯があったのだ」
「みんな初回とか舞台挨拶見に行くから君とは合わないわけだね」
「ところが、劇場から出ると福科考∞譜観さんらの一団にバッタリ遭遇」
「なんて偶然だ」
「Newtype新宿のヤマトコラボカフェに行くことになってしまった」
「それで?」
「人間の食い物には見えない冥王星バスタを食べてオムシスどら焼きを食べてカクテルのアンドロメダを飲んで、それから東村山の用事をこなしに出かけたよ。もっとも水筒忘れて後で戻ったがね」
「ぎゃふん」
「そして、家に帰った」
「その日はそれで一件落着だね」
「とんでもない!」
真の爆弾はここにあった §
「結局さ。嚆矢編を見ているといちいちガンダムが透けて見えるの」
「えー」
- あ、エルメスがビットで攻撃してる
- あ、ジャブローからテアンム艦隊が打ち上げられた
- あ、落着地点はジャブローだと言ってる
- あ、アクシズを落下させまいと必死にνガンダムが支えてる
「結局さ。【この世界の片隅に】の方が余程本来のヤマトに近い位置にいる。ヤマト2199以降、タガが外れてヤマトはどこかに行ってしまった気がする」
「何か分かりやすい事例はあるかい?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトの薄汚れた男、この世界の片隅にの薄汚れた少女は相通じるものがあるし、それは本来のヤマトが持っていた属性なんだ。そういうものが消えて綺麗に浄化されたのがヤマト2199だと思えば良いだろう。結局、この世界の片隅にという映画は、今の日本にもう一度敗戦のトラウマを植え付けることに成功した希有な作品であってそこが自分の非常に評価の高いところであるのだが、本来はそれをヤマトが行うべきだったと思う」
「本来のヤマトは敗戦のトラウマの上に存在していたわけだね」
「まあそういうことだ。そして、自分は綺麗すぎる水には住めないのだ」
「そもそも居場所が違うわけだね」
「そういうことだ。そんな気分はあったが、一つだけ気になることがあった」
「それはなんだい?」
「オープニングだよ。明らかに地球を背景にしたヤマトとコスモタイガーの編隊はヤマト2のオープニングのオマージュだからね。ああいう映像なら見たい。しかし、もう今更円盤は買いたくない」
「なんで?」
「意外と邪魔になるからさ」
「特典付きの7枚はかなりのサイズだって2199で懲りたわけだね」
「そうだ。そこで、配信のデジタルデータで嚆矢編を買うことにした。いつもはACE COMBAT INFINITYを動かすPS3を起動してPlaytStation Store経由で買ってダウンロードした」
「やけにスムーズじゃないか」
「デジモンtriを見るために使ってたからな」
「デジモンかい」
「そういうわけで、ノンテロップオープニングとエンディング付の配信データを手に入れたわけだ」
「それで?」
「ノンテロップオープニングは確かに、旧作ヤマト2通りの映像が入っていて胸が熱くなったよ。みんな【さらば】【さらば】とばかり言うが、2も忘れられていないと思えたからな。好感度アップだ」
「それで?」
「ところが、ノンテロップエンディングを見てのけぞった」
「なんで?」
「やっぱりネタバレだから詳細は何も言わないことにする」
「えー」
「ただね。一つだけ言える」
「それはなんだい?」
「これこそ、敗戦のトラウマを植え付けに来たな……と反射的に理解できた」
「敗戦のトラウマって、ヤマトが本来なら植え付けるべきだと君が言ったそれそのものじゃないか」
「そうさ。まさに今のヤマトに欠落した要素だと思ったポイントの中核がそこにあったのだ。好感度劇的アップ」
「それが結論だね」
メカ映像の問題 §
「メカ映像の問題だが、先行上映回で見た時【これは】と思うカットもいくつかあったが、全般的に平凡な印象しか受けなかった」
「それで?」
「ところが、ノンテロップオープニングとエンディングを見ると、一変した。これは見事だ」
「どこが?」
「オープニングの最後のカット。ヤマトが横にスライドしてから回り込んで後を見せる映像。これは見事だねえ。ヤマト2199の映像に感じた煮え切らない微妙さが綺麗さっぱりない。これなら何も文句は言わない」
「えー」
「ところが、ノンテロップエンディングのヤマトはもっと上手い。文句は無いとかそんなことではない。心が動いたよ。本気で【上手い】と思った。見事だ。ここまでヤマト2202で心が動くとは思わなかった。脱帽だ」
「不意打ち?」
「正に不意打ち」
「どこが良いと思う?」
「真上から見た構図だけでひたすら見せていく見せ方が良い。たぶん、分かってない人だと単調過ぎると思って避けちゃうかもしれない」
「何か細部で良いと思った箇所は?」
「艦首の甲板の突起部がキラッと光るところ」
「なんてさりげない」
「でも、そこが良いのだ」
まとめ §
「煩雑になったからまとめてくれよ」
「つまり最初に戻る」
「ありがとう、羽原さん。私はあなたの中に本当の勇気とヤマト愛を見せて頂きました……ってことか!」
オマケ §
「一つだけ補足しておこう」
「なんだい?」
「劇場に入場する際、隣にいた見ず知らずの人たちが話をしているのが耳に入った」
「どんな話題?」
「とあるスタッフからブロックされたとかされないとか。予想以上に広まっているらしい」
「ダイヤブロックの話?」
「違うって」
「じゃあレゴ」
「違う。ナノブロックでもないよ」