「さらば宇宙戦艦ヤマトという作品は、複数の経路で複数の要素に対して背景にきな臭い部分があることを暗示させられている」
「きな臭い要素? 具体的には?」
「それは、あまり語れないな」
「とても語れない要素が複数あることが、既にきな臭さだってことだね」
「まあな」
「じゃあ、さらば宇宙戦艦ヤマトは具体的にどういう構造で成立しているのと思うのだ?」
「ガス抜きとクーデターだ」
「説明してくれ」
ガス抜き機構 §
「公共工事などで分かったことだが、実は迷惑な正論というものがある」
「それはなんだい?」
「一面では正しいが総合的には採用できない主張だ」
「それで?」
「そういう迷惑な正論を振りかざす正義の味方を無力化するためのガス抜きメカニズムが存在する。話を聞くがいつの間にかうやむやにしてしまうのだ」
「それと同じことが、さらば宇宙戦艦ヤマトでも起きていたと?」
「ただの推理だがね」
「つまり、一部の現場スタッフが偉い人の要求を聞いているふりをして現場で全部組み替えたというわけだね?」
「そう。だから、松本零士は怒る。さらば宇宙戦艦ヤマト大嫌いだ。しかし、本当の理由は主人公が死ぬからじゃない。裸の王様扱いされたからだ。そう推理している」
「では、もしそうだとして、何が問題なんだい?」
「実は、さらば宇宙戦艦ヤマトという企画そのものがダメ企画で、無策で挑むと自動的に凡作になるようにできている」
「えー」
「さらば宇宙戦艦ヤマトという映画は実はさらば宇宙戦艦ヤマトという作品を映画にしていないのだ。全部再調整して似て非なる別の何かが映像になっているのだ」
「ってことは。面白い要素が詰まっているはずのヤマト2の居心地の悪さの原因はそこにあるわけ?」
「そうだ。どう再調整してどう勝算を与えているかの隠された要素を把握しないで企画をトレースして作り直すと自動的に罠に落ちるようになっている」
「なぜ今更そんなことを考えるの?」
「いやね。もしかしたらヤマト2202も同じ罠に落ちているような気がして」
「罠に落ちようとヤマト2にもヤマト2202にも人気があって、好きだという人が多ければ問題ないのでは?」
「その通りだ。だから、そういうことを考えることそのものに意味は無いのだろうと思う。ヤマト2202に関してはその通りだ」
「ヤマト2に関しては違うの?」
「そうだな。そこは少し気になる。いろいろと考えてしまうよ。せっかくテレサの死に涙したというのに、あとから生きたテレサが出てきてずっこけたトラウマがあるからな」
オマケ §
「少なくとも、アンドロメダにはアンドロメダ病原体が付属していて、防疫しないで扱うと作品が病んでおかしくなりかねない」
「何を言いたいのか分からないよ」
「何十年かしたら、運が良ければ理解できるよ」
「もうちょっと具体的にアンドロメダの何が病原体なのか説明してくれよ」
「あれはもともとイメージが曖昧過ぎるのだ。デザインも曖昧なら作中の扱いも曖昧だ。曖昧であるがゆえに絶大な人気の受け皿になれるが、逆説的に具体像を与えてしまうと人気が崩壊しかねないリスクがある」
「なるほど。君から見たアンドロメダは【間違った復興の象徴】【駄作艦】【見かけ倒しで結局負ける】と良いところが無いのに、【かっこいい】とか【強い】というプラスの印象を持つ人も多いわけだね」
「そうだ。それもこれも、最初からアンドロメダは存在そのものが曖昧過ぎるのだ」
オマケ2 §
「だから、アンドロメダアンドロメダで興奮している人たちと君は気持ちを共有できないわけだね」
「そうだ。私の心ははるかに君たちに近いのだ」
「君たちって誰だよ」
「少なくともアンドロメダに興奮してない人たちだな」
オマケIII §
「君から見たアンドロメダを一言で表現してくれ」
「ばっきゃろー」
「ありがとうございました」