「徐々に分かってきた。取りあえずまだ検証は完全ではないが現状での仮説を説明する」
「重油タンク、重油バーナーなどが外されたD51が重油併燃機か判定する方法だね」
「そうだ。それをやらないとテンダーの形式を正確に確定できない可能性がある」
「それで?」
「D51の焚き口戸には動力焚き口戸装置が付いている。焚き口戸の上に付いている円筒形のパーツがそのためのシリンダーだ。ペダルを踏むと焚き口戸が開く仕掛けだ。しかし、手動で開くためのレバーが付いている。これが手動テコだ。手動テコは、左側にある手動テコ受けというパーツに引っかけて開いたまま固定できる」
「ふむふむ。それで?」
「手動テコは、焚き口戸の上の方の手前に付いている長い金属の棒だ」
「それがどうした。重油の話と関係ないぞ」
「そうではない。おそらく、この手動テコの根本の部分、石炭専用のD51は斜めになっている。しかし、重油併燃機の場合は垂直になっている」
「なぜ角度が違う?」
「おそらく重油バーナーを取り付ける空間を捻出するためだ」
「重油併燃装置を外した時に原形に戻されていないの?」
「おそらく、静態保存時の重油タンクや重油バーナーの取り外しが行われている場合にも、動力焚き口戸装置の入れ替えまではやっていないようだ」
根本が斜め例 (D51 118) §
根本が垂直の例 (D51 254) §
感想 §
「で、この説明は正しいの?」
「知らんがな」
「えー」
「取りあえず、成田のD51 254にまた調査のために舞い戻ってしまった。この機関車はボイラー上に重油タンクがあったらしい。だからテンダーの形式に重油は関係しないので甘く見た。重油判定は重要だから、テンダーの形式とは関係なく重油併燃かどうか見抜く力が要求されている。その結果、また成田に舞い戻った」