「マジンガーZは、爺さんが死んで孫が巨大ロボットを譲り受けることから話が始まる」
「そうだね」
「グレートマジンガー、グレンダイザーは既に巨大ロボットの搭乗者として話が始まる」
「そうしないと、第1話から主役ロボを出せないからね」
「それに対して、たとえばペリーヌ物語は母に依存する娘がストーリー中盤で母を失い、自立していく話だ」
「それで?」
「実は、途中で沖田艦長が寝込んでしまい、古代が自立せざるを得ないヤマト1974の物語もペリーヌ物語的な構造を持っている」
「当初古代は自由に戦闘できる立場ではないのだね」
「そうだ。実は私の心は遙かに君たちに近いかのように、ヤマトはマジンガーよりペリーヌに近かった」
「そういう意味では、途中で父さんが消えるダンガードAも近いよ」
「ダンガードAは、まさに異端だからな」
「他には?」
「実はファーストガンダムも名劇的」
「中盤で頼れる先輩格のリュウが死んでしまうわけだね」
「マチルダさんもな」
「でも、なぜそうなるんだ? 別に富野さんがペリーヌ物語を監督したわけではなかろう」
「でも、演出でスタッフ入りしてるんだよ」
「ぎゃふん」
「結局、西崎義展さんも一時期名劇の企画に関わっていたらしいし、名劇のスタッフを見ると後年活躍する有名スタッフの名前がいくらでも見つかる。あれは、結局人材の巣だったのだろうと思う」
「それって、まさかヤマトとファーストガンダムは異母兄弟的に近い位置にいるってことかい?」
「そうだと思うよ。物語の組み立てや、演出の基本ラインの底辺にある価値観は似ていると思う」