「古代進の誕生日に非常に違和感があった」
「どんな違和感だい?」
「みんな。古代進が他人なんだ」
「当たり前じゃないか。実在する古代進はいないよ」
「そうじゃない。見ている僕の代理人としての古代進ではないのだ。完全に他人なのだよ」
「どういうことだい?」
「つまりさ。僕はヤマトの世界に入ればないから、代わりに古代進が存在する……という受け止め方ではないのだ。全てに関して傍観者であり、古代進は別の世界に住んでいる誰かということなのだ」
「君に取っての古代進とはなんだい?」
「物語を見る上で感情移入する先だな」
「感情移入する先だとどんな特徴があるんだい?」
「感情の接点が必要だ。意外と間抜けで付け入る隙があるのが古代進」
「隙が無い島大介では感情移入できないわけだね」
「そうだ。実はSBヤマトまでは古代はそういうキャラクターであった。しかし、ヤマト2199以降は古代がそのような立場から降りてしまった」
「出番が減ったものね」
「しかし、方舟以降は出番が増えた」
「みんな喜んでいるね」
「でも、おいらは喜べない」
「なんで?」
「感情移入できる隙が無いからだ」
「えー」
「『記録ならもうしています』『さすがだな、相原』と言って笑われる古代はもういない。恐い顔で怒る古代がいるだけだ」
「つまりなんだい?」
「つまりさ。ヤマト2199で古代が活躍しないことに怒っていた人たちは実は一枚岩ではなかった。実際には古代の出番が少ないことに怒っていた人と、古代の出番に付け入る隙が少ないことに怒っていた人は同じように怒っているいるように見えて質が全く違っていたわけだ」
「なるほど。古代ファンの多くが満足しているかのように見えるヤマト2202だが、実は古代が格好良ければそれで良いというニーズしか掬っていなかったということだね?」
「かもな」
「で、君は、もっと間抜けな笑われる古代が見たかったわけだね?」
「いや、もういいよ。今のヤマト2202にはそれなりの客層がいるわけだし、彼らを満足させるように作ったらいいんじゃないか?」
「それはどういう意味?」
「途中で方針を揺らすと作品が崩壊するからもっと悪い結末になるかもよ」
「今の路線で突っ走れってことだね」