2017年09月29日
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三百字小説『ボットちゃん』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 人間そっくりに受け答えするボットちゃんが流行った。あまりにボットちゃんが面白いので、利用者はボットちゃんに群がった。

 ボットちゃんファンのオフ会が開催され、会場の居酒屋で盛り上がった。

 しかし、メインディッシュのカキが悪かった。食べた全員が店員ごとその場で死んでしまった。

 付けっぱなしのテレビから流れてくるアナウンサーの声だけがずっと流れていたが、それもボットだった。「それでは本日の放送はこれで終わりです。お休みなさい」

 すると、ボットちゃんはネットに接続して「お休みなさい」とリプライを返した。

 それからアナウンサーボットとボットちゃんは待ち合わせ場所を相談して、夜のネットに連れ立って消えていった。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

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