「ともかく凄い。ドラ映画として良く出来ているというレベルではない。普通の映画でもなかなか越えられない一線を軽々と越えている」
「そういうものが見られる意外性があるから映画は辞められないわけだね」
「そうだな。ドラえもんだとともかく作れば客が入る安全パイだが、まるで安全パイの作り方をしていない。情け容赦ない」
「具体的に良かったところは何?」
「結局、最後に行き着くのは善悪の対決ではない。リングで救うのは地球かヒョーガヒョーガ星かという究極の選択だ。最終的に地球を救ってくれるヒョーガヒョーガ星のカーラは本当に他人に対して献身的に振る舞ってくれるが、それは容易なことではない」
「他には?」
「キャラ特にしずかちゃんの描き方が本当に型にはまっておらず、生き生きとして見応えがあった」
「なるほど」
「ドラえもんの道具の限界と可能性を良くドラマに織り込んだとも思うしね。見事だよ。どこを切ってもレベルが高い」
オマケ §
「とはいえ、これだけ凄い映画なのに語る言葉は限定的な方向からしか聞こえなかった」
「なぜそうなると思う?」
「マニアを気取っているだけの薄いオタク層は、ドラえもんと言うだけで馬鹿にして見ないし、そこに何かの価値があるとは思わないし、見てもその価値は読み取れないだろう」
オマケ2 §
「いやー。この映画は見なければならないような気がして借りたのは正解だった。根拠無き嗅覚は正しかった」
「緑の巨人伝も見ただろ」
「あれはついでにリストに入れただけだが、混雑の都合であっちが先に来た。それだけ。でも、緑の巨人伝も凄く出来が良かった。今の時代、スタッフ交代後の新ドラえもんの映画黄金期かもしれない」
オマケ3 §
「顔が膨らむデザートを食べるところは、クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦でヒロインまでおならの出る芋を食って膨らむシーンを思い出したが、ヒロインにそれをやらせる大胆さが共通していると思ったよ。それは良い特徴だ」
「可愛くないのに?」
「人間的ではあるよ。それはそれで魅力だ」